プロ3年目の札幌MF田中宏武 攻撃的姿勢増し主力に名乗り「イチかバチかで勝負する局面では行く」
【コンサドーレ沖縄キャンプ】
■1月27日、沖縄県・金武町陸上競技場
北海道コンサドーレ札幌は27日、午前練習を実施し、パス練習や攻撃練習などを行った。翌28日は11時から具志川運動公園多種目球技場で今季J1に昇格した町田ゼルビアと練習試合を行う。
J2藤枝レンタルから復帰
J2藤枝への期限付き移籍から復帰したMF田中宏武(24)はプロ3年目の今季を勝負の年として位置付け。主力が移籍し混沌とするウイングバック(WB)のレギュラー獲得を狙う。
「今年結果を残さなければいけない」
トレーニング開始から12日目を迎えた札幌の沖縄キャンプで、初日から意欲的な姿勢を示し続けているのが田中宏だ。11対11の戦術練習でボールを持つと、ドリブルで仕掛けるシーンを多く見るようになった。「今年結果を残さなければいけないところで、やっぱりゴールに関わる回数を増やさないと。今のところは去年よりもイチかバチかで勝負する局面では行くようにしています」と、より攻撃的な思考で日々のトレーニングに臨んでいる。
20日のセリオーレ戦、ドリブル突破からゴール
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その姿勢はこれまで行った練習試合で示している。20日に行われたFCセリオーレ戦では2得点をマーク。24日の川崎戦でも得点に絡むプレーこそ無かったものの、与えられたポジションで再三ドリブル突破を図っていた。「練習で出せているようなことがなかなか試合になったときに出せていないのが現状だと思います」と自己評価は厳しいが、攻撃への意識、そして今季に懸ける強い思いが垣間見えるシーンがセリオーレ戦で披露された。2本目30分、札幌のカウンターの場面で敵陣左サイドでパスを受けた田中宏はドリブルで独走。対応した相手選手を小刻みなフェイントで剥がし、そのまま左足でゴールネットを揺らした。
「去年だったらあの局面はパスを出していた」
「去年だったらあの局面になっても、もしかしたら他の選手にパスを出していたかもしれないんですけど、今年はあの局面で自分で行こうとなれたのは成長というか、意識が変わっている部分だと思うので、もし他の試合でああいう局面になっても、まずはゴールに向かっていこうと思います」。
28日の町田戦で監督にアピール
28日には町田との練習試合が行われる。「練習で、自分の中でいいパフォーマンスが出せているときもあるので、それを試合で発揮するところを意識しながらやりたいです」。残り4戦となった沖縄での練習試合で、その攻撃姿勢をさらにミハイロ・ペトロヴィッチ監督(66)らチーム首脳陣にアピールしていきたいところだ。
馬場、西野と3人部屋「ストレス無くやれてる」
自身3度目となる長期キャンプだが、練習以外の時間も気心の知れた仲間たちとリラックスして過ごすことができている。田中宏にはDF馬場晴也(22)、DF西野奨太(19)と共に3人部屋が割り当てられているが、普段からプライベートでも一緒に行動するなど仲が良い3人だけに「2人はどうかわからないですけど(笑)、僕はストレス無くやれています」と口にする。「前回のオフ(21日)は馬場とかとカフェに行ってという感じでしたし、普段の練習時間外も本当にずっと3人で。ホテルの大浴場とかも一緒に行きますし、一緒にコンビニ行ったり、部屋でゲームしたりという感じです」。気になる3人部屋の〝現状〟については「キレイだと思います、今はすごく。キレイだと思います(笑)」と強調するが、真相は本人たちのみ知るところ。
金子、ルーカス移籍でWB争い混沌
札幌は右WBのレギュラーだったMF金子拓郎(26)が昨夏クロアチア1部ディナモ・ザグレブへ期限付き移籍。左右両サイドでのプレーが可能だったMFルーカス・フェルナンデス(29)もJ1C大阪へ完全移籍するなど、WBの主力級が抜け、両サイドの定位置争いは混沌としている。
両サイドできる強み生かし定位置勝ち取る
左は昨季同位置で先発出場することが多かったFW菅大輝(25)を筆頭にMF青木亮太(27)や新加入のMF長谷川竜也(29)が、右はWBでもプレー可能なMF浅野雄也(26)や新加入のMF近藤友喜(22)、DF髙尾瑠(27)が候補に挙がるが、いずれも左右どちらかのサイドのスペシャリスト。両サイドでプレーできる田中宏のユーティリティー性はポジション争いでアピールポイントになる。「僕の長所として両足蹴れるのもありますし、両サイドで突破できる部分で他の選手と違う特長は出せるかな」。自分しか持っていない武器と新たに身につけた攻撃的姿勢で主力に躍り出る。
「シーズン終わった後に重要な存在になれるよう」
22年のプロ入り以降、札幌でのリーグ戦出場は途中出場の1試合のみ。厳しいプロの世界で置かれている立場は認識している。「しっかり結果を残して、シーズンが終わった後に自分が重要な存在になれるように頑張りたいです」。藤枝での武者修行でたくましさを身につけて帰ってきた背番号30が進化した姿を披露し、札幌の両翼を担う強い存在へと変貌を遂げる。