《新コーチに聞く》~金子千尋2軍投手コーチ【2024ファイターズ新コーチインタビュー】
道新スポーツデジタルでは、日本ハムの沖縄春季キャンプに合わせて「新コーチに聞く」を不定期連載する。2024年に就任したコーチングスタッフを紹介。大切にしている言葉や信念、影響を受けた指導者、キャンプ中の失敗談、オススメの息抜きなど、いくつかのテーマに沿って答えてもらった。第4回は沢村賞右腕で、22年限りでユニホームを脱いだ金子千尋2軍投手コーチ(40)が登場。昨年は特命コーチとして米国へコーチ留学した。
「特命コーチの時も投手コーチだと思ってやっていましたけど、役職が変わって、投手コーチになったので、今回は2軍の選手をしっかり見る。仕事が明確になった。プレッシャーというか、やらなきゃいけないなという気持ちは、倍ぐらいになりました。特命コーチの時ももちろん、やらなきゃいけない気持ちはありましたけど、何を学んできてもいいと言われていたので、少し気が楽でしたね」
「僕としては、長く活躍できる選手ですね。1年だけ、ガッて成績を残して、その年だけというよりは、長くやってほしい。もちろん選手によっては1年だけできれば満足だっていう人もいるかもしれないですけど、見ているファンの人は長くその選手を見たいと思うので、息の長い、プラス毎年しっかり活躍できる選手を育てられたらなと思います。今は時代的にメジャーに行く流れもできてきているので、そういう意味では世界的に活躍できる選手も育てられたらなと思っています。チーム方針と並行して、自分の経験と考え、選手に合うであろう練習方法と考え方をちゃんと明確にして与えたいですね」
「コーチングなので、教えることも入ってくるとは思うんですけど、それだけが選手を伸ばす要因ではないと思う。まずはしっかり選手を見て、評価したいというのが一番です。評価した中で、選手にもし何か質問された時に、僕はどうしたら良いですかと聞かれた時に、すぐ答えられる準備をしておきたいです。その選手の特徴、長所がなんなのかが分からないと、何をさらに伸ばしたら良いかが見えてこない。どんな練習が必要か、やってはいけないこともあると思うので、そこをしっかり判断したいです」
「単純に、僕が選手時代にやられて嫌だったことはしたくないですね。例えばですけど、選手に合わないことを押しつけたり、逆に能力が下がってしまうようなこと、言ったことによって迷ってしまうようなこと、選手にマイナスになることはしたくないです」
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「監督にもピッチングコーチにもいました。共通して僕が思うことは、自分の考えをしっかり持っている。頑固という意味ではなくて、自分の考えをしっかり持っている中で、他の意見もしっかり聞く。それを『これは違う』と言うのではなくて、その人の考えも聞いた上で、僕にとって結局、何がいいのかを一緒に考えてくれる人だった。俺がこうしていたから、こうしろではなくて、説得力がありましたね。いきなりその人たちのようには絶対うまくいかないですけど、参考にしたいなとは思っています」
「いっぱいありますね。練習においてはこれとか、ピッチングにおいてはこれとか、その時によって違ったりしますね。難しいな。本当にありきたりなことですけど、1つ挙げるなら『継続』ですかね。継続することの大変さを知っているつもりなので、それができる選手を育てたい。それに対して、どうすれば継続できるかを、日々考えています。継続した先にこそ、結果はついてくると思うので」
「まあまあ、キャンプしていますからね。僕、3年連続で同じ日にけがしたんですよ。2月7日だったと思う。ある年は、それをきっかけに手術したこともあったし、開幕が遅れたこともあったし、自分の中で『魔の日』と呼んでいました。3年連続でやったので、4年目はその日、余計なことは何もしなかった。ちょっと練習も抑えて、投げすぎない、走りすぎない。キャンプの思い出はそれですね。2011年、12年、13年。11年は2月9日に肘を手術したんですけど、その年は東日本大震災があって、シーズンが後ろ倒しになった。5月5日に2軍で試合復帰して、6月5日に1軍に復帰した。もう1個、面白い話があるんですけど、この時、投げる前に打席が回ってきたんです(笑)。6月5日の交流戦。甲子園の阪神戦で。復帰戦なので、投げることをまず考えていたんですけど、一回の表に打席が回ってきました」
「僕はゴルフですね。好きなので。体が疲れていても、ゴルフに行かない方が後悔して、気分的によろしくない。部屋にずっといるよりは全然、良いと思う。選手たちは、計画的にやってほしい。ゴルフは歩くので、いい有酸素運動ができる。例えば、休み前にしっかり追い込んでおいて、休みの日にゴルフで有酸素運動をして、良い状態で休み明けを迎えるような。しっかり考えてやるなら、僕はゴルフは全然、反対しないです。(ベストスコアは?)だいぶ昔で、恥ずかしいのでやめておきます」
「基本的に僕は現役中、奥さんに任せっきりだったので、子どもに対してそんなには言わない。怒る時は怒りますけど、奥さんによく言われるのは、『急に怒らないでくれ』って。僕的には、それまでに何回も同じことを言っているから、その日初めてダメなことをしたとしても、ガーッと言ってしまう。でも奥さん的には、『一回注意して、それでも聞かなかったらにして』って言うんですけど、何回も同じこと言っているじゃんって僕は思っちゃう。一応、プロ野球選手で、見られる立場だったので、家族連れでどっかに行く時は、どうしても厳しくなってしまいますね。プロ野球選手の子どもだから、こういうことをしているのかと思われたくないし。ご飯に行った時も、他の家族の子どもが騒いでいても何とも思わないんです。子どもだし、別にいいやんって。でも自分の子どもが騒いでいたら、まあ怒ります。他の人に迷惑かけんなって。自分の子どもに対しては。自分の子どもと選手は違いますね。選手はもう大人なので、できれば促して、いい方向に進めたい。それでもダメだったら、言わなきゃいけない時もあるので、その選手の限界、ここを過ぎたらもうダメだというところの判断は人それぞれ違うので、そこも選手を見ておかないといけないなと思います」
「一応、現役を長くやらせてもらったので、現役の時の金子千尋の方が印象としてまだ全然、強いと思う。かといって、コーチになって、がっかりさせたくない。自分で言うのも変ですけど、金子千尋だから、いろいろな賞を獲れるような投手を育ててくれるだろうと思っている人もいるかもしれない。なので、そういう期待を裏切らないようなコーチでありたいし、そういう人でありたいなと思います」