スキーアルペン竹内 夢舞台に挑む
父は元ジャンプ選手、母は体操で幻のモスクワ五輪日本代表
アスリート一家に育ったホープが北京五輪出場を目指している。全日本スキー連盟(SAJ)アルペン強化指定選手の竹内力音(22、日体大―北照高)は2018年のインターハイ王者。父の元康さん(57)は元ジャンプ選手で、体操選手だった母の由佳さん(57)は1980年夏季モスクワ五輪で幻の日本代表となった。“期待のサラブレッド”はあす10日から欧州遠征に出発。W杯組への昇格を果たすべく、まずは下部レースで上位進出を狙う。
誰よりも速くなりたい。竹内の国際スキー連盟種目別(回転)順位は164位。「五輪は特別。北京に出て次の五輪にもつなげたい。150位を切れば、W杯の出場権が得られるので、まずはそこを獲る」。欧州杯など下部レースからのステップアップを狙う。
北照高3年時に全国高校総体で優勝した。「僕がスキーを続けるために母が支えてくれた。母がいなかったら続けられていない。お金がかかるので、早くナショナルチームに入りたかった」と歯を食いしばってきた。
その後、日体大1年時に強化指定選手となり、今年3月の宮様スキー大会(男子回転)で初優勝するなど、メキメキと実力をつけている。
有力選手は夏場に欧州でトレーニングを積むことが多い。ところが今季、代表遠征費の75%を自己負担することになり、9月にクラウドファンディングで費用を募った。
すると、目標の150万円に82人が賛同。約1カ月半で達成した。「その分、頑張らなきゃ。プレッシャーを掛けながら練習できた」と10月20日まで2カ月弱の欧州遠征を無事に乗り切った。
オフシーズンには肉体改造にも着手した。「海外選手に劣らない筋力、パワー、持久力を意識した」とスクワットとベンチプレスで、それぞれ25キロ増。体重も5キロアップで75キロと一回り大きくなった。
険しい道のりなのは重々承知だ。北京五輪の出場枠は現時点で「1」。竹内は種目別で日本勢5番手だが、SAJが定めるW杯8位以内などの派遣基準をクリアしている選手はまだ出ていない。「とにかくレースでポイントを取って、基準を切る」。両親が立てなかった夢の舞台に照準を定めた。
竹内 力音 (たけうち・りおん) 1999年8月29日、札幌出身。札幌二条小時代に札幌SSプロダクツで競技を始める。2018年の高校総体男子回転で優勝。日体大3年時の21年宮様スキー大会国際競技会では男子回転で優勝。FISランクは回転164位。169センチ。家族は両親と兄、姉。