【道スポ評論家が直撃】岩本勉氏×加藤貴之 ~芽生えた9年目の覚悟 オフは子育てに奮闘
2年連続の登場! 今回はガンちゃんが頼れる左腕の〝内角〟をえぐる!
日本ハムの沖縄春季キャンプに合わせ、現地入りしている道新スポーツ評論家が選手の本音に迫る「直球インタビュー」。今回は「ガンちゃん」こと岩本勉氏(52)が加藤貴之投手(31)と対談した。国内フリーエージェント(FA)権を取得しながら、残留を決めた左腕の胸の内は―。子育てに携わる新米パパの素顔ものぞかせ、愛犬「ポンちゃん」の話題にも触れた。
悩んだ末の決断 稲葉GMの熱意にほだされ
岩本(以下岩)「さあ、9年目のシーズンを迎えました。ファンの方はFA宣言するのか、ファイターズに残留なのか、ものすごく気をもみました。結果はファイターズ残留とありがたい決断。決め手は?」
加藤貴(以下加)「稲葉さんとご飯を食べて、そこで熱意を伝えていただきました。権利を使うのか本当に悩みました。他球団の評価を聞きたかったのもありました。取れると思っていなかった権利をたまたま取れたので。31歳で取れて、もう一踏ん張りというところ。自分ってどうなのかなと。(当時)GMの稲葉さんらの熱意をすごく感じました。そこが一番の決め手です。このチームでもう一回、優勝したいなって」
エスコン元年の昨季は開幕投手 平常心で務めた大役
岩「求められている意思が伝わってきたんですね。ファイターズのユニホームでプレーをしていただけるということで。去年のトピックスは新球場の開幕投手から始まりました。どんな心境のマウンドやったんですか?」
加「言われたのは9月くらいですかね。最終戦で言われました。そこからも特別な意識はなくて、キャンプも自分の思い通りに練習できました。いざ、あのマウンドに立ってみても、そこまで緊張感なく投げられたのが本音です」
文句なしの数字も責任投手は「16」 悔しさをにじませる左腕
岩「準備の充実があったから、過度な緊張はなかったんですね。昨季はクオリティースタートが24試合中19試合。勝ち星は7で負けは9。イニングは160以上投げて、しっかりと先発投手の役割を果たしてくれていますが、登板試合が24にもかかわらず、責任投手は16。僕も投手出身なので厳しく言いますが、責任投手が16であることを自分ではどう思います?」
加「そこはちょっと悔しいですね」
岩「今は分業制となっている中で、こういう数字になることは分かるのですが、本人はどう捉えているのかなと思って質問してみたんです。勝つも負けるも責任投手。先発投手は意識するでしょ?」
加「そうですね。もっと勝ちたいですよね。チーム自体も。2年連続最下位っていうのは自分も責任を感じているので。開幕投手を務めてスタートでチームの出はなをくじいてしまった。今年はもっと覚悟を持って練習しないといけないですね」
海を渡るエース右腕 「上沢が残したものはやっぱりデカい」
岩「覚悟という言葉、いいですね。アスリートとして最上級の言葉ですからね。次はチームメートについて伺いたい。上沢投手がメジャー挑戦ですよ。契約のことでワーワー言われてましたが、隣で見ていてどんな感想を持ちましたか?」
加「上沢的には良かったと思います。挑戦するのは上沢の良さ。チームとしては痛いけど、夢なので。そこは応援したいなと思います」
岩「でも左右の柱ですよ。その右腕がチームを離れます。違った責任も生まれたんじゃないですか?」
加「僕がやることは変わらないですけど、上沢が残したものはやっぱりデカいと思う。僕だけでなく、他の投手もたくさんいるので、みんなでやっていければなと」
オリックスから山崎がFA加入 同じ先発完投型として意識
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岩「左の先発完投型として対抗馬になる山崎福也投手が入団してきましたけれども、何か意識するところはあります?」
加「そうですね。2桁勝っている投手ですし、優勝したチームから来てくれたので、そこは意識しますね。でもやることは変わらない。タイプも違うと思っているので。ただ負けたくないなとは思ってます」
こだわりを持つ投球回 目標は180イニング
岩「良いですね。そういうライバル意識はとても重要だと思うんですよ。切磋琢磨し、気付けばシーズン終盤、数字にも反映されていると思っています。今季一番こだわる数字は何でしょう?」
加「イニングですね。イニングは頑張りたい。180はいければ良いかな」
岩「相当な運動量ですからね」
加「そこまで投げれば、防御率もある程度、付いてくるのかなと」
ガンちゃんからリクエスト 2桁勝利「狙っていきましょ?」
岩「必要とされてマウンドに立っているわけですからね。でも投手出身の岩本としては勝ち星も欲しい。重要人物の割には、まだ2桁勝ってませんからね。狙っていきましょ?」
加「それは打者との兼ね合いもあるので。勝てる試合というか…最少失点でいけば、負ける確率は下がる。そこは自分の責任ですよね」
控えめ回答も実はおもしろキャラ
岩「勝てる試合をつくることが勝ち星につながりますからね。加藤貴之投手らしい控えめな回答が印象的ですね。でも僕は知ってるで? チームの中で、めちゃめちゃ『おもしろキャラ』でしょ?」
加「普段はふざけてます」
ピッチャーは赤ちゃんを抱っこできない!?
岩「野球選手として一人前。そして今度はパパとしても一人前にならないといけないですね。去年10月に第1子誕生。よちよち歩きのお父さんですね。影響はあります?」
加「抱っこしすぎて肩が痛くなりました(笑)」
岩「野球選手は昔から、お子さんを抱っこできないと言うじゃないですか。オフシーズンに?」
加「おむつも替えますし、お風呂も入れてます。保湿は奥さん。僕が洗って、奥さんに渡して、奥さんが保湿。沐浴(もくよく)は日々やってます」
岩「あれ、気を使うよな」
親孝行なご子息 ガンちゃんも感心「ええ子やな~」
加「ちょっと慣れてきたので、もう最後の方は雑になっていますね(笑)。ほとんど奥さんがやってくれる。12月はある程度やりましたけど、1月からは奥さんに任せきりになってます」
加「今は夜泣きがなくて、意外と寝てくれるんですよ」
岩「へ~。俺の姉ちゃん、めっちゃ困ってたで」
加「うちはそこまで手がかからないみたい」
岩「ええ子やな~。俺はおいっ子、めいっ子を見ててさ、姉ちゃんから子育てめっちゃ大変やって聞いてたで。沐浴なんて、俺は絶対に手を出されへんかった」
加「自分が思っていたよりも、そこまででしたね。初めはきつかったけど、だんだんと慣れてきた。まあまあまあ、ぐらいな感じです」
話題はポンちゃん 仕事を取ってくる頼りになる〝娘さん〟
岩「家族といえば、犬を飼ってると聞いた。ポンちゃん。何犬?」
加「ポメラニアンです」
岩「小っちゃいのか。赤ちゃんより先輩やから、気付いたら赤ちゃんを守ってたりするかも」
加「うちのポンは守ってくれないですね。マイペースなので。仕事はたまに取ってきます(笑)。一昨年はテレビにも出て。球場のご飯にもポンの名前を使ってもらって、臨時収入があるんです。自分の犬の名前がメニューになっている。球場ご飯になってるんです。それで結構、来てくれるお客さんもいる」
岩「できる息子さん」
加「ポンは娘です(笑)」
岩本氏「しっかり見てるからね」 加藤貴「頑張ります!」
岩「ポンやったら、雄かと思った。そういえば、武田勝はネコを飼っていて、『みー太郎』という名前やった。雄?雌?って聞いたら『岩本さん、みー太郎ですよ』って言われた。なんも考えないで尋ねて、恥ずかしかったわ~。冗談ばっかり言ってるけど、しっかり見てるからね」
加「頑張ります!」