ヴォレアス金星逃す 日本製鉄堺にフルセット負けも0-2から猛追【V1リーグ】
■Vリーグ男子1部 ヴォレアス北海道2-3日本製鉄堺ブレイザーズ(2月11日、旭川市リアルター夢りんご体育館)
相手は歴代最多タイトルホルダーの名門
あと一歩のところで、名門からの金星を逃した。ヴォレアス北海道はホーム・旭川に日本製鉄堺ブレイザーズを迎えた。全国タイトル歴代最多の54回を誇る強豪に、ここまでの3試合は全てストレート負けを喫していた。この日も2セットを先取されたが、3セット目から投入されたミドルブロッカー(MB)田城貴之(31)のブロックがハマるなど、2セットを取り返し、フルセットまでもつれた。最後は競り負け、昨年12月2日VC長野戦以来の3勝目とはならなかったが、高さで上回る相手に多彩な攻めで立ち向かった。
最終セット14-14まで迫ったが
もう一押しが足りなかった。2-2で迎えた第5セット、14-15と追い込まれた状況でエース・張育陞主将(23)が放ったスパイクは、高めに抜けていった。フルセットの激戦を落とし、張は「いい試合だったけど、負けて悔しい。自分たちの実力が足りない」と唇をかんだ。それでも、これまで1セットも取れなかった日本製鉄堺を相手に、総得点数は104-102と上回るなど、確かな成長を示した一戦になった。
第3セット、MB田代貴之投入から反撃
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前日の反省はもちろん、試合中の修正も功を奏した。2セット終了後、エド・クライン監督(42)はブロックにてこを入れた。第3セットからMB田城を投入すると、このセットで2本のブロックを決めて流れを引き寄せた。ブロックに付く際にいつもよりもリスクを背負い、早めに動いたことがハマった。「以前まではボールが出る前に動いちゃいけない」としていたが、それではV1のレベルに対応できなかった。
クライン監督はメンタル面の成長を評価
相手のセッター(S)のビデオをギリギリまで入念にチェックするなど、今年は読みの部分を重点的に鍛えている。その努力が一つの形として現れた。また、クライン監督は0-2からの追い上げを評価した。「2セット落とした状況から立て直したことはポジティブ。勝ちにいく決意を持って取り組んでくれた」とメンタル面の成長を称えた。
シーズン進めばデータを取られ、確実に封じにくる
V1ではブロックと守備のレベルが格段に上がる。シーズンが進むほど相手にデータを取られ、アタッカーの得意なコースを確実に封じにくる。この〝網〟をくぐり抜けるためには、この日張主将が見せたフェイントやプッシュなどの多彩な攻撃のみならず、S山岸隼(24)が「相手のミドルの癖だったり、穴を見つけて地道にやっていく」と話すように、小さな隙も逃さない観察力が必要となる。
高いV1のレベルだけ、チームの伸びしろは増える
一方、守備では割り切ることも重要。田城は「いいブロックの反応、ディグのポジションが良かったとしても決められる。やることができていて、決められたら仕方ない」と確率の薄いところを捨てる勇気もいる。攻守においてレベルの高いV1だが、クライン監督は「成長させるいい機会」と前を向く。高い壁にぶつかった分だけ、その伸びしろが存在する。
やっかいだなと思った
■札幌市出身で北海道に凱旋した日本製鉄堺ブレイザーズのMB出耒田敬(32)
「(ヴォレアスは)サーブですごく殴ってくるチーム。やっかいだなと思いました。大学4年生ぶりぐらいに冬の北海道に来て、寒いなと思いますけど、いい場所だなと思いました」