新庄流タッチアップ改革〝助走付けて本塁突入〟高難度の裏技で得点力上げる
■春季キャンプ 第4クール第5日(2月19日、タピックスタジアム名護)
あえて前足をベースの上へ
日本ハムの新庄剛志監督(52)が19日、沖縄・名護で行われた練習中、タッチアップの改革に着手した。通常のタッチアップは後ろ足をベースの端にセットし、捕球と同時に最短距離でスタートを切るが、新しい試みでは、あえて前足をベースの上に置き、助走を付けてダッシュする。塁間27.431メートルの攻防を制するため、高難度のチャレンジを開始した。
無死三塁または1死三塁を想定
野手が三塁付近に集まり、間一髪のクロスプレーで相手を出し抜く〝裏技〟をテストした。想定は無死三塁または1死三塁。走者が見やすい中飛、右飛のタッチアップに限定した戦略だ。およそ一歩分、走る距離は長くなるが、助走により、本塁到達が速くなる―という理論に基づいている。
約0.2秒縮まった選手も
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ストップウオッチを手に三塁から本塁までのタイムを計測したデータ分析担当兼任の代田走塁コーチは「助走を付けた方が速い選手が多かった。速い選手で0.2秒ほど(縮まった)。人によってばらつきはあったけど、(スタートが)一緒のタイミングなら、後ろから走った方が、おそらく速いとは思います」と推察した。
外野手の捕球直前に動きだし 五十幡「タイミングが難しい」
当然、一朝一夕で身につけられるほど、簡単な技術ではない。理想は、外野手が捕球する直前に動きだし、捕球と同時に前足をベースから離すこと。従来とは異なる動作、タイミングの取り方が必要になる。実際、通常のタッチアップでチーム最速3.25秒を記録した五十幡は、新パターンで失速。タイム短縮の可能性を認めた上で「捕る直前に動き始めるとちょうどいいかなと。タイミングが難しい。試合でできるようになるまでには、やっぱり慣れが必要かな」と見通しを口にした。
代田走塁コーチ「結構な差になる」
既成概念にとらわれない新庄監督ならではの発想がチームに浸透しつつある。もし、多くの野手がこのシビアな走塁をマスターできれば、得点力アップにつながる可能性がある。代田コーチは「もしかしたら(平均して)0.1秒ぐらい速くなるのかもしれない。0.1秒って多分、結構な差になる」とメリットを強調。続けて「1点差で負けるゲームが去年は多かった。少しでも(本塁到達タイムを)削っていって、(1点に)つながるような野球になれば」と願いを込めた。今後は、練習試合やオープン戦で新しいタッチアップを試す予定。効果が実証されれば、攻撃面で大きな武器になりそうだ。