【北海14度目の春】⑤2011年大会 48年ぶり8強決めた代打決勝打の松本桃太郎さん
第96回 選抜高校野球大会が3月18日に阪神甲子園球場で開幕する。北海道から昨秋の全道王者・北海と21世紀枠で別海が初出場する。北海は1963年大会で北海道勢最高成績の準優勝を収めるなど、道勢最多14度目の出場を誇る。歴代OBから甲子園開業100周年の節目に出場する後輩たちへのエールを紹介する。
センバツは控え三塁手、2年夏に一塁のレギュラー奪取
2011年の第83回大会2回戦・天理戦(奈良)で六回裏に代打決勝適時打を放ち1-0で48年ぶりの8強入りを引き寄せた松本桃太郎さん(29、ホンダ鈴鹿)。選抜では背番号「15」で控え三塁手だったが、甲子園帰りの春季大会から「3番一塁」でレギュラーに定着し47年ぶりの甲子園春夏連続出場に貢献した。
昨年6月に母校訪問「これ絶対甲子園出れる」と確信
社会人8年目の今年も、F1日本グランプリが行われる三重・鈴鹿サーキットに隣接するグラウンドで始動した。選抜甲子園と同時期の3月20日に愛知で行われる東海地区春季大会でシーズンインする。昨年6月の北海道遠征時には、夏の大会を控えた母校で練習に参加。「そん時もう確信したんすね。これ絶対甲子園出れるって。チームのまとまりとか個人の能力も、ちょっとこれは抜けてるなと思った。今回もぜひ勝っていただいて、なんなら優勝してもらいたいですね」と、自らが果たせなかった頂点に期待を込める。
イチロー見倣い、甲子園初打席は頭の中で実況してた
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自身は、春2回戦・天理戦の代打が甲子園初打席。頭の中でもう1人の自分が実況していたそう。「選抜の前にWBCがあって、イチローさんが韓国から決勝タイムリーを打った時に、そういうのをやったって話していたのをテレビで見て、打席でやってみたんです」。見事、中前に決勝打を放ったが「正直、あの瞬間覚えてないんですよ。後からビデオで見て、真っすぐをセンターに打ったんだなって。フラッシュバックみたいな感じで、自分の体を自分で扱っている感覚もなかった」。今振り返っても不思議な感覚だったという。
勝ち進むためにはチームの総合力が重要
準々決勝の九州国際大附(福岡)戦でも代打で途中出場。1点差で敗れたが、大会を通じて学んだことはチームとしての総合力の重要性。「エースが抑えて、主力メンバーが活躍して勝つのは理想ですけど、全員が全員はうまくいかないじゃないですか。中には調子悪い選手もいると思うんですよ。そういう時に控えの選手が代打で1本打って決勝点とか、ものすごい強いんですよ、そういうチームって」。
最上級生になった秋と最後の夏は甲子園には届かなかったが、仙台大では1年から首位打者とMVPを獲得。2、3年で全日本大学選手権にも出場するなど大学でも活躍した。
社会人2年目で日本代表選出もプロは断念
社会人野球のホンダ鈴鹿では、1年目から都市対抗に出場。2年目の2018年には社会人日本代表にも選出された。大学時代にはプロ入りの期待もあったが「社会人3年目を終えた時点でプロは無理だなと。そこに焦点を当てるんじゃなくて、チームのために東京ドームで勝ちたいって、どんどんシフトチェンジしてきましたね」。昨年の都市対抗では西濃運輸の補強選手として自身6度目の出場を果たし、1回戦では先頭打者弾を叩き込んだ。「都市対抗は毎年ワクワクしますね。今度は鈴鹿のユニホームでホームランを打ちたい。今年はなんとしても2大大会に出場して、その中で1試合でも多く勝つ」と、同期では唯1人現役を続ける。
「特別なことする必要ない。秋に勝てた野球をすればいい」
初戦は優勝候補の大阪桐蔭に決まったが「特別なことする必要ないと思うんですよ。秋に勝てた野球をすればいいと思うんすよ。甲子園という舞台が変わるだけ。それだけやってくれたら、間違いなく上まで行けるチーム。そこだけやってくれたらいいのかな」。北海の野球を貫けば、必ず勝利が訪れると確信している。