《ハム番24時》2月25日
2024年の春季キャンプが終わった。普段、鎌ケ谷取材がメインの記者は、2軍メンバーが汗を流していた沖縄・国頭にも何度か足を運んだ。印象的だったのは、20歳近く年の離れた若手たちと並んで、精力的に投げ、走る38歳・宮西の姿だ。
ある日の練習では、ブルペンで投球を終えると、受けた梅林に身ぶり手ぶりを交えて、何やらアドバイスを送っているようだった。
後輩に話を聞くと「試合に向けて、チェンジアップをどういうところで使うかという話をしていました。チェンジアップは落ち幅も結構あるので、宮さん(宮西)から右打者と左打者で、構える高さをこうしてほしいという話がありました。あと僕は、構える時に右足を着いたり、左足を着いたりして、ななめに構えることもあるんですけど、宮さんには真っすぐ構えてほしいと言われました。ななめの方が取りやすいですけど、もちろん投手優先。そうやって言ってもらえることはありがたいです。他にも膝を着いた時のミットの高さと、膝を上げた時のミット高さが変わらないようにとか、いろいろな話をしていただきました」と教えてくれた。
実はこの日、ブルペンでバッテリーを組んだのは宮西からの〝指令〟だった。後輩捕手は「宮さん、ロッカーが隣なんですよ。記事にもなっていましたけど、めちゃめちゃチェンジアップが良いという話をしていて、たまには受けに来いやって、ずっと言ってくれていたので、きょう受けさせてもらったんです。受けてみて、チェンジアップは確かにすごく良かったです。去年、おととしと(試合で)組ませてもらって、ここでチェンジアップあったらいいなという場面もあった。今までは、宮さんにはもっとレベルの高い球種(スライダー)があったので、そっちを優先していましたけど、これからはチェンジアップの優先順位も上がってきそう」と、実戦での配球のイメージを膨らませていた。
後輩とも壁をつくらず、積極的にコミュニケーションを取りながら、細部にこだわって突き詰める宮西。その一挙手一投足には、プロで長く活躍するための秘訣(ひけつ)がたくさん詰まっているはず。国頭にいた若手たちにとって、レジェンド左腕と過ごした1カ月は、かけがえのない時間になっただろう。