【日本最東端の春 初陣・別海】㊤意識改革を誓った甲子園観戦から1年後の初出場
今春で創部46年目 酪農と漁業の町から21世紀枠で初出場
3月18日に阪神甲子園球場で開幕する第96回選抜高校野球大会に、今春で創部46年目を迎える別海が21世紀枠で初出場する。チームの近況や町の盛り上がりなど、人口1万4000人ほどの酪農と漁業の町から出場する別海の企画を「日本最東端の春 初陣・別海」と題し、3回に分けてお届けする。
土のグラウンドを求めて初の道外遠征
2月16日、雪に覆われた北海道から土のグラウンドを求めて初の道外遠征となる鹿児島合宿を敢行。昨年11月下旬以来、約2カ月半ぶりに屋外での本格的な練習で汗を流した。中道航太郎主将(2年)は「土に慣れるのがテーマだった。雪の上ではできない練習ができたので、その中で実戦練習だったりとか、試合に近づいた練習をする中で、チームメートのコミュニケーション、連係っていう部分をテーマにやっていました」と振り返る。10日間の遠征で、ナインはこんがりと日焼けし、たくましさは少し増した。
金澤は左翼と投手の二刀流
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選手は16人だが、左翼の位置でポジション争いが勃発。昨年秋に背番号7を付けた川上大翔(1年)に代わって、11番だった金澤悠庵(2年)が昇格。島影隆啓監督(41)は「金澤のレギュラーが決定しているわけではない。そこの取り合いを実戦の中でやっていく。冬の間に金澤が一番しっかりやっていた。レフト以外はもう固定になるんじゃないですかね。金澤はピッチャーとしても、だいぶ良くなってきた。正直、去年の秋まで(投手)は、立蔵(諄介、1年)が2番手かなと思ってたけど、現時点では、何かあった時は金澤に任せられるかな」と、期待を寄せている。
新バットはゼットパワー
今春から低反発の新基準の金属バットの使用が義務づけられる。昨年内に日本高野連から全国の加盟校に2本ずつの配布が終了。別途、甲子園に出場する別海には、各メーカーから試打用金属バットが多数届き、各選手がお気に入りのバットを発注。中道主将は「ゼットパワー。音と手に残る感覚が自分の中では良かった。飛距離はそこまでだけど、打ってる感覚が従来のものに似ていた」と、聖地で戦う〝相棒〟も決まった。
聖地でもセンター返しを心掛けて
室内で行っていたティー打撃などの成長度合いも、屋外で確認する事ができた。冬の筋トレなどで「感覚としては脂肪がなくなって筋肉が増えた」とパワーアップに成功したが、新バットは「やっぱり飛ばない」。チーム内では、「元々自分たちは、ピッチャーからセカンドの間を抜くヒットを目指していて、その意識は変えずにやっていこう。バットが変わるからといって、自分たちのバッティングが変わるわけではない」と原点に立ち返った。聖地でもセンター返しを心掛けて得点を狙う普段着の野球を目指す。
至近距離で優勝校の野球を視察
チームとしては初出場だが、指揮官と中道主将ら現在の2年生3人、そしてこの春に卒業する3年生の有志は昨春の選抜大会が行われた甲子園に足を運んでいた。優勝した山梨学院や大阪桐蔭の試合を観戦し、「優勝したチームのプレーを間近で見ることができた。三塁側の一番前だったけど、ほんと良い席で見させてもらった。(選手の)体つきが違うし、ボール回しの雰囲気だったり、そこに近づくには、もっと自分たちの中で意識を変えていかなきゃいけない」と痛感した。
スタジアムツアーでは三塁側ベンチも体験
幸運にも恵まれた。観戦予定だったうちの一日が雨天順延。その日は急きょスタジアムツアーに参加し、三塁側ベンチにも入ることができた。「今度は観客じゃなくて選手としてみんなで来よう」と、もう一度、目標を再確認。その夏は釧根支部代表決定戦で敗れたが、秋は全道4強入り。再び聖地のグラウンドへ足を踏み入れる権利を手に入れ、「自分たちの目標が甲子園だったので、実現できたのは本当にうれしい」と、1年越しで念願を叶えた。
仙台育英に進んだ元チームメートと約束
昨年末には、別海中央中時代のチームメートで全国大会に2度出場した仙台育英のエース・佐々木広太郎投手(2年)が地元に帰省。寺澤佑翔中堅手(2年)の自宅に当時のチームメートが集合し、「夏に(甲子園で)また会おう」と約束を交わした。
茨城合宿では実戦感覚を
対外試合の解禁日に合わせて3月1日からは甲子園前最後の合宿のために茨城入り。2~8日までの間に練習試合3試合を予定している。「鹿児島遠征が終わって、技術面としてはレベルアップできたと思うけど、試合慣れが秋のままで終わってしまっている。甲子園に向けて、試合のつくり方、雰囲気、その流れを持ってくるような試合ができれば」と実戦感覚を磨くつもりだ。甲子園初陣初勝利へ、着々と準備を整えていく。