《鶴岡慎也のツルのひと声》キャンプ総括 正捕手争い&打者編~本当の意味でのレギュラー争いが勃発
チームに緊張感をもたらす若き扇の要たち
正捕手争いが激しい。2人の若手が他のライバル、いやチーム全体に緊張感をもたらしている。田宮と進藤。田宮は昨季終盤、少ない試合出場(10試合)ながら存在感を示した。1軍昇格がもう1カ月、2カ月早かったら、正捕手の座をつかんでいたかもしれない。そのぐらいのインパクトがあった。
ハイパフォーマンスを披露し続ける田宮
だからこそ、今年に懸ける思いは相当だったはず。オフもしっかりとテーマ、課題を持ち、トレーニングしてきた。その成果を十分なパフォーマンスで見せている。監督、コーチら首脳陣は、より感じていることだろう。
すでにファームでやることはない進藤
そしてルーキーの進藤。スローイングはすでにプロでもトップレベルにある。ワンバウンドもしっかりと止められる。バッティングに関しても優れた対応力を有している。何より、どっしりと落ち着いている。技術に裏打ちされた自信。それが支えとなっているのだろう。
もう、ファームでやることはない。1軍で実戦を重ね、投手陣とコミュニケーションを取っていくことが必要だ。とはいえ、プロの世界。必ず苦労はする。体はもちろん、頭も疲労するポジション。いかに感情の波を少なくし、1年間を戦い抜くかがカギとなる。
目を見張る2捕手の強肩ぶり
盗塁阻止は昨季、チームとして苦しんだ部分。決して捕手だけの責任ではないのだが、田宮と進藤はキャンプ中、このウイークポイントの面で、大きくアピールした。その強肩ぶりには目を見張るものがある。
現時点で最も開幕スタメンに近いキャッチャーは…
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現時点では伏見がトップに変わりない。開幕スタメンに一番、近い存在だ。オープン戦初戦となった24日のDeNA戦でも二塁打をマーク。安定感のあるリードも見事だった。ただ、これからのオープン戦次第。田宮に進藤、清水…。序列を覆すだけの時間は残されている。
闘志をみなぎらせる松本剛 熾烈な外野の定位置争い
キャッチャー同様、外野のポジション争いも熾烈(しれつ)だ。新庄監督がレギュラーを確約しているのは万波のみ。となると、残る枠は2つになる。22年に首位打者のタイトルを獲得した松本剛。昨季はリーグ5位の打率・276を記録した。決して悪い数字ではないのだが、自身は納得していないはずだ。練習試合から実戦に出続けているのは本人の希望だろう。状態は良さそうで「今年はやらないと」との自覚が伝わる。
ライバル多数 スティーブンソンも存在感
江越も元気で、五十幡のスピードはやはり魅力。加えて新助っ人のスティーブンソン。実に実戦向きで、躍動感がある。そして注目したいのが現役ドラフトで加入した水谷だ。バットの軌道が良く、率も残しそう。チャンスを与えたくなる選手だ。
清宮の離脱&郡司の〝コンバート〟で内野も競争激化
内野も、打撃力のある郡司がオープン戦でサードに就くなど、競争に拍車がかかっている。負傷離脱している清宮も、完治したからといって、すぐに1軍昇格できるとは限らない。それだけ、各ポジションでレベルの高い争いが続いている。
新庄体制3年目 「オリックスとソフトバンクに引けを取らない」
今月中旬、オリックスとソフトバンクのキャンプを視察した。ファイターズの選手層は2チームに引けを取らない。面白い戦いができる。新庄体制1、2年目。多くの選手にチャンスが与えられた。今季は本当の意味で、レギュラー争いが繰り広げられる。各選手が、よりプロ野球の厳しさを実感するはずだ。