【日本最東端の春 初陣・別海】㊥補助金5000万円に寄付金も集まり初の道外遠征や甲子園応援ツアーも
酪農と漁業の町が甲子園フィーバーに沸く
3月18日に阪神甲子園球場で開幕する第96回選抜高校野球大会に、今春で創部46年目を迎える別海が21世紀枠で初出場する。チームの近況や町の盛り上がりなど、人口1万4000人ほどの酪農と漁業の町から出場する別海の企画を「日本最東端の春 初陣・別海」と題し、3回に分けてお届けする。
町内どこに行っても応援ムード
別海町は初めての甲子園フィーバーに沸いている。1月26日の21世紀枠決定後、島影隆啓監督(41)は「町内、どこに行っても横断幕や短冊、ポスターなんかを貼ってもらったりして、もう本当にどこに行ってもある。悪いことできないです」と苦笑いを浮かべつつ、一躍おらが町のヒーローに躍り出た反響の大きさを再確認した。
出場決定の3日後に臨時町議会 補助金で鹿児島と茨城に遠征
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町も町民も全面バックアップだ。甲子園出場が決まった3日後に開かれた臨時町議会では、ふるさと納税の寄付金を財源に、野球部の遠征費や生徒の応援費用の一部などに充てる5000万円の補助金を出すことが可決された。そのおかげで野球部は2月16日から10日間、鹿児島へ初の道外遠征を敢行。島影監督は「久々の土の上で練習ができて、僕らのやりたいことは全部できた。100パーセントの完璧な状態のキャンプができた」。さらに3月1日からの8日間は二次キャンプを実施し、茨城県内で今季初の対外試合3試合を行う。
後援会発足
また、先月3日には元同窓会長で元町議の安部政博氏が会長となり、「甲子園出場後援会」を発足。町からの5000万円とは別に、4500万円を目標に寄付を募っている。事務局によると、100万円を寄付してくれた企業や個人を含め2月23日の時点で1800万円に届く勢いだという。寄付金の募集は甲子園の結果にかかわらず、3月31日まで行う予定だという。
甲子園応援ツアーの参加者募集
大応援団が結成される。学校では1、2年生の全165人の中から有志による甲子園での「希望応援」を募っている。また同後援会主催による甲子園応援ツアーの参加者も募集中だ。さらにアルプススタンド名物のブラスバンドは、昨秋に札幌ドームで実施した吹奏楽部10人に加え、この春に卒業する3年生2人や卒業生にも声を掛け、選手の背中を後押しするつもりだ。
北京五輪出場のスピードスケート新濱と中道主将は家族ぐるみの付き合い
地元出身のオリンピアンも注目している。2022年北京五輪スピードスケートに出場した新濱立也(27)、男子500メートル銅メダルの森重航(23)、郷亜里砂(36)の3人が別海町出身。新濱の父と中道主将の祖母がホタテと鮭の漁師ということで仲が良く、新濱が幼少期の頃にはよく中道主将の実家で遊んでいたという。中道主将も物心ついた頃には新濱と直接話したことがあるといい、甲子園出場が決まった際にはSNSのダイレクトメールを交換。祝福のメッセージをもらい、「一緒に別海町を盛り上げていこう」と約束したという。
別海町出身の作家・河崎秋子さんは直木賞を受賞
さらに、甲子園出場が決まった1月には、同町出身の作家・河崎秋子さんの「ともぐい」が直木賞を受賞するなど明るい話題が続いており、「別海旋風が来てるかもしれない」と中道主将。開幕が近づくにつれ、町の熱気はどんどん高まっていく。