今川優馬 後輩の虎・門別から執念の一打「先輩の意地。陰ながら応援しつつ、僕も負けていられない」
■オープン戦 阪神2ー3日本ハム(3月2日、札幌ドーム)
「2番・左翼」でスタメン出場 四回の第2打席で会心の一打
強烈な一打で、先輩の貫禄を示した。日本ハムの今川優馬外野手(27)が2日、札幌ドームで行われた阪神戦に「2番・左翼」で先発出場。四回の第2打席で、東海大札幌高の後輩にあたる門別啓人投手(19)から中堅フェンス直撃の二塁打を放った。
背水の覚悟で挑む4年目のシーズン。会心の一打をきっかけに上昇気流をつかむ。
直球を捉えてフェンス直撃 「僕のパワー不足」
威力ある直球を、痛烈にはじき返した。外角高めの145キロを捉え「外野は抜けるかなと思ってました。あとは札幌ドームのフェンスを越えるかどうかだったけど、全然フェンスの下。あれを本塁打にできないのは、門別くんの真っすぐに押されたのかな。僕のパワー不足です」と手に残る感触を確かめながら、爽やかに汗を拭った。
2年前の夏に後輩左腕を認知 南北海道大会準決勝を観戦
母校で活躍する逸材の存在を意識したのは、2年前の夏だった。2022年の南北海道大会準決勝。知内高校に敗れた試合を、現地で観戦していた。
「彼が高校3年生の時に円山球場へ応援に行きました。甲子園に出ると思っていたのに、負けちゃったので僕も悔しかった。その時から面識はありました」と、ちょっぴり切ない記憶を懐かしむ。
昨年10月に交わした約束 OP戦ながら早くも実現
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プロ入り決定後にも食事を共にするなど、常に目を配ってきた。昨年10月に開催されたみやざきフェニックス・リーグでは、あいさつに訪れた門別と再会し「体が一回りも二回りもデカくなったね。来年は1軍で対戦しよう」と近未来の直接対決を約束した。
この日、早くも実現した同門対決で先輩の意地を見せた格好だ。
頼もしい存在 高卒2年目で先発ローテ入りを狙う門別
門別はまだ十代ながら、早くも先発ローテーション入りが期待されている虎のホープ。今川は自らが19歳だった頃を思い返し「すごいですよね。考えられないですよ。僕は大学の2軍で腐っていた時期。そう考えたら、たいしたものです」と自嘲気味に笑った。
試合前にはあいさつ 「楽しんでやろうね」
メキメキと頭角を現す左腕とは対照的に大学、社会人を経て地道に力を蓄えてきた。歩んできた道は違っても、長い年日を重ねて才能を磨いた遅咲きのスラッガーは、後輩を素直に称える。
「きょうも試合前にあいさつへ来てくれて『楽しんでやろうね』って。試合中にも(伏見)寅威さんと、高校の先輩後輩は少ないから、うれしいねって話をした。ローテで回ってくれたら、高校の監督が一番、喜ぶと思う。それは僕らもうれしいです」
先輩も狙うレギュラー奪取
心広く優しい男は、この試合の快音を飛躍のきっかけにする。「先輩の意地を見せられたかなと思います。門別くんを陰ながら応援しつつ、僕も負けていられない。アピールしないといけない立場なので、ああいう打球を増やしていきたい」
後輩の勢いに乗り、自らもレギュラー奪取へ突き進む。