《岩本勉のガン流F論》胸を熱くさせた2人のベテラン
■オープン戦 阪神2ー3日本ハム(3月2日、札幌ドーム)
進化を続けるプロ16年目
2人のベテランが胸を熱くさせた。まずは中島。打っては五回の第2打席で初球をセンター前へ。打撃のポイントが近い選手だったが、この打席は前に置いた。プロ16年目の33歳。ここにきて進化している。
これぞ職人技 「衰える」の文言は失礼
そして三回の守備。三遊間を抜けそうな打球を好捕し、巧みな身のこなしと素早い二塁送球でフォースアウトに仕留めた。これぞ職人技。動きは衰えていない。いや、「衰える」などといった文言は失礼。これまでと全く変わらないキレのあるプレーを披露した。久しぶりに強いショートストップを見た。
まだまだプロでメシを食える選手
ハッキリ言う。ここ数年。二遊間のレギュラー争いはもたついている。そこにきての中島。言い古されたフレーズで申し訳ないが、「俺を忘れてもらっちゃ困る」との声が聞こえてきそう。まだまだプロでメシを食える選手だ。
なんやかんやで、ショートの位置を食ってしまう可能性も
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正直、プレーヤーとして過渡期を迎えているのは確かだ。それでもファイターズは彼と契約している。給料を下げてまでもプレーしてほしいと願う。欠くことのできない選手。彼の動きを目の当たりにした若手はピリついたと同時に「タクさん! すげー!」と、うなっただろう。二遊間のポジション争奪戦を一気に盛り上げた。いや、なんやかんやで、ショートの位置を食ってしまう可能性だって十分にある。
杉浦史上ナンバーワンの投球
もう一人は杉浦。5番手で上がった九回のマウンドは圧巻だった。圧倒的なピッチングで3者凡退。160キロに迫る直球で押しまくった。おそらく「全球全力」というミッションが課せられていたのだろう。私が見る限り、杉浦史上でナンバーワンの投球だった。
V型12気筒すべてに火が入った
右肘のけがもあった。能力が高すぎて肉体が付いてこない選手。それがこれまでの杉浦だった。「出し惜しみしたままで終わっていいんかい!?」。そんな言葉でハッパをかけられた可能性もある。V型12気筒に8発しか火が入っていなかった杉浦。この日は12発すべてに火が入った。そんな投球だった。
白樺アーム 帯広発の大魔神が完成!?
そして20球を超えても球威は落ちなかった。背が高い白樺の木は吹雪にも負けない力強さを持っている。もう一つ、変化球を投げる時の身のこなし、そのコツさえつかめば、打者のバットはクルンクルン回る。白樺アーム、帯広発の大魔神が完成する。となれば、一気にクローザー候補に躍り出る。
プレーに表れた過酷トレーニングの日々
国頭キャンプからスタートした2人のベテラン。並々ならぬ闘志を胸に秘め、トレーニングの日々を過ごしてきた。この日のプレー、投球が物語った。