《鶴岡慎也のツルのひと声》円熟味を感じた伏見のリード
■オープン戦 阪神5ー6日本ハム(3月3日、札幌ドーム)
先発ローテーション入りを引き寄せたマーフィー
マーフィーとザバラ。2人の新助っ人右腕が持ち味を発揮した。まずは先発のマーフィー。三回までパーフェクトと、一回り目をしっかりと抑えた。四回に3点を奪われたものの、いろいろと試しながらの投球だったはずだ。トータル4回、強いボールで打者をさし込めていた。
特に左打者に対するカットボールが有効で、先発ローテーションに入ってくるだけの力は十分にある。本人も手応えを感じたことだろう。けん制やクイックもうまい。
ザバラが披露した厄介な散らばり
2番手で1回を投げたザバラにも球の強さがあった。打者は嫌だろうな~という印象も持つ。良い意味で、ストライクゾーン内でボールが散っていた。決まったところに来る155キロと、散ってはいるけど、ストライクゾーンに来る155キロでは当然、後者が厄介だ。
百戦錬磨の扇の要 長所を引き出す伏見
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そして、2人の長所をうまく引き出していたのが捕手の伏見だ。強い球への安心感、信頼感があるから、アバウトに真ん中付近にミットを構えられていた。これがなかなか若い捕手にはできない。結果を求めるあまり、コース、コースに構えてしまう。数多くの投手とバッテリーを組んできた百戦錬磨の伏見だからこその巧みなリード。円熟味を感じた。
臨機応変さも持ち合わせるベテラン捕手
加えてザバラに関して。時折、引っかけたボールが外のストライクゾーンに決まっていた。ただ、抜ける日もある。右打者にとっては恐怖だ。これもうまく利用できる。コントロールが「ビタビタ」な時はコースに構えればいい。そういった臨機応変さも、伏見は持ち合わせている。
バッティングでアピールに成功した水野
打者では水野が印象的だった。遊撃のポジションを争う上川畑が負傷離脱した。左大腿(だいたい)部筋膜炎ということだが、症状は軽く、10日ほどで実戦復帰できる見込みという。とはいえ、ライバルとしては、この間にアピールしない手はない。思い切りの良いバッティングで2本のタイムリーを放った。2本目は左投手から。守備機会も無難にこなせていた。
求められる高い状況判断能力 意識してもらいたい
けれど、だ。五回の走塁はいただけない。2死一塁で右翼フェンス直撃の適時二塁打。三塁を狙った結果、挟まれてアウトとなった。一走のホーム生還が間一髪のタイミングなら、三塁へ行ってもいいのだが、セーフなのは確実だった。無理に三塁を狙う必要はなかった。
2死二塁でも、水野の足があれば、1本のヒットで生還できる。何より、ビハインドの場面。チャンスを継続させなければいけなかった。点差、ランナーの動き、カットボールの行方など、複合的な判断が必要だ。ましてや、ショートの定位置を狙う立場にある。遊撃手や捕手には、高い状況判断能力が求められる。そこをしっかりと意識してもらいたい。