鉄腕・宮西が8球で1回ピシャリ 光った新球〝金子千尋チェンジ〟「打者の反応がすごく良い」
■オープン戦 日本ハム3-3楽天(3月9日、静岡・草薙総合運動場硬式野球場)
六回に登板し、手応えつかむ
鉄腕に備わった新たな武器が、威力を発揮した。日本ハムの宮西尚生投手(38)が、六回から2番手で登板し、1回をわずか8球で3者凡退に抑えた。楽天の打者を苦しめたのは、春季キャンプ序盤に金子千尋2軍投手コーチ(40)の助言を受け、改良したチェンジアップ。「打者の反応がすごく良かった。(チェンジアップを)投げるという不安、どうなんねやろ、という感じではなくなって、もう全然、いつでも放れる、という手応えはつかみました」と笑顔を見せた。
新球投げた後の微妙なズレも修正
前回登板した2日の阪神戦では、〝金子チェンジ〟を投じた後のスライダーに微妙なズレが生じていたが、今回はきっちり修正。「チェンジアップをずっとキャンプからやってきて、その中で、前回はそこ(チェンジアップ)からのスライダーを投げるときに、ちょっとバランスが崩れた。それをきょうは、1球で修正できたので、そこの課題もクリアできた。真っすぐも体の状態も段々上がってきたので、本当にいい登板だったんじゃないのかなと思います」と胸を張った。
キャンプで金子コーチから助言
チェンジアップが進化を遂げたきっかけは2月3日、2軍国頭キャンプの3日目に訪れた。ブルペンで投球練習をしていた宮西は、金子コーチから「ちょっと難しいことを言うけど、チェンジアップを投げるときに、いつもより球に回転を多くかけてくれ」とアドバイスされた。
狙いと信頼
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助言の裏には「チェンジアップだからといって、遅くしようとか、落とそうとか思いすぎないように。遅いから落ちる、回転をしていないから落ちるというのは、ちょっと間違った考え。球を遅くしようとすると、どうしても腕が緩む。それをなくすため」という狙いと、「同じことを言っても、伝わる選手と伝わらない選手がいる。もう投げる感覚をしっかり持っている選手なので、宮西だったらできると思った」という信頼があった。
ベテランも意外な発見
現役時代、チャンジアップを武器に沢村賞を獲得した偉大な先輩からの金言を聞いた宮西は、「発想が全然違った。すごい新しい感覚。あ、こういうこと! みたいな。すごい投げやすいというわけではないけど、頭とボールのズレ、差がなくなった。そういうことね、だからこうなるんや、という感じ」と納得し、「バッターの反応も変わってくると思う。実戦で試していきたい」と、その後の対外試合で試投を重ねた。
あとはどう使うか
もちろん、まだ完成には至っていない。試合で好感触をつかんだからこそ、新たな〝質問事項〟も出てきた。「あとは、どういうふうな使い方をするか。まあ、タイミングよね、やっぱり。金子さんは、使い方がすごい上手な方だった。このあと下(2軍、鎌ケ谷)に行くので、金子さんに聞きたいな、というのはあります。そこを勉強してかな。教えてもらった本人にもう1回、教わりに行こうかな」と、2軍チーム合流後に〝師匠〟の元へと向かうつもりだ。
松本剛からの助言も
この日の試合後は、チームの主力打者である松本剛にも助言をあおいだ。「バッターの意見は大事やから。剛から細かい話だったり、バッター側の意見を聞けた」。内容は「言えない(笑)」と口を閉ざしたが、充実感をにじませた柔らかい表情が収穫の大きさを物語っていた。
状態を維持しながら精度を上げる
プロ17年目の開幕まで、残り3週間を切った。「今の状態をキープしながら、どんどん、もっと細かい精度を上げていきたいと思います」。前人未踏の400ホールドまであと「7」に迫るレジェンド左腕は新兵器を引っさげ、野球人生を懸けた勝負の一年に挑む。