プロ12年目の苦労人・阿波加が札幌下部組織出身GKで初めてJ1出場「チャンスは巡って来る」
■J1第3節 札幌0-1浦和(3月10日、札幌ドーム)
GK菅野の負傷で急きょ先発へ
GK阿波加俊太(29)がプロ入り12年目でJ1デビューした。ユース昇格組のGKではクラブ史上初。今月6日の練習中にGK菅野孝憲(39)が指の負傷を悪化するアクシデントに見舞われ、急きょ出場が決まった。前半31分に失点したが、その後は追加点を許さず、最少失点に抑えた。
細かい内容とかあまり覚えてない
岩見沢市出身の道産子。2013年のトップ昇格後、大きなケガやJFL移籍など長い下積みを経て、ついに国内最高峰の舞台にたどり着いた。「結果的に負けたので、チームとしても個人としても悔しい。正直なところ、細かい試合内容とかあまり覚えてないところが多いので、帰ってから映像でしっかり分析して、良かったところ、悪かったところをやっていきたい」。次こそ、完封で勝利に貢献するつもりだ。
出場の可能性は感じていた
先発が告げられたのは9日の練習後。チームとしてはピンチだったが、阿波加にとっては大チャンス。「練習の時から主力組に混ざって入ることもあったので、そういった意味では、少し早めに準備しながらやれた。可能性はあると感じてたので、早くから準備はしてました」。
ドームは16年のJ2京都戦以来
札幌ドームでプレーすること自体、J2デビュー戦だった2016年3月26日の京都戦(3〇1)以来。試合前練習でいざピッチに入ると、「めちゃくちゃ緊張した」と心臓はバクバクだった。ただそれは、サポーターの大声援でどこかに飛んでいった。「ほんとに身が引き締まりましたし、自分がやってやるんだっていうふうに思わせてもらいました。勇気づけてくれた、ほんとにありがたい声援でした」と、自らを奮い立たせて勝負のピッチに立った。
失点場面は「一瞬の間が空いた」
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前半3分には、いきなりカウンターから数的不利となってシュートまで持ち込まれたが、がっちりセーブするなど懸命にプレー。前半31の失点シーンは、「コーナーをショートでやられた段階で僕もそうですし、みんなも中のオーガナイズのところを気にして、一瞬の間が空いたというか、対応が少し遅れた部分があった。僕も含めてもっと早く気づいて声を掛けて対応すれば、また少し違った結果にはなったのかなと思うので、そういったところも話しながら改善していくしかない」。全てがうまくいったわけではなかったが、前節4失点の守備の改善に貢献できたことは間違いない。
13年ユース昇格組の深井から
トップチームに昇格したユース同期6人の中で、いまも札幌に残っているのは阿波加とMF深井一希(29)の2人だけ。深井とは「長い付き合いなので、あまり声を掛けることもなかったんじゃないですかね」と言うが、「大丈夫だ」と短い言葉で送り出してもらった。
現在のアカデミー生にも見本
スタンドには現在の下部組織の選手も多く訪れていたいた。「今いる子たちにもコツコツやれば、こういうチャンスが巡って来るんだよっていうのを伝えることにもつながったんじゃないかな。けど、欲を言えば、ほんとに勝って、いい姿を見せたかったです」と残念がった。
次はもう少し緊張を落ち着かせて
GK菅野の回復次第では、次節のホーム町田戦でリベンジの機会が訪れる。「J1のデビュー戦はもう終わった。次からはもう少し緊張を落ち着かせて、チームを助けられるようなプレーをしたい。僕のストロングは、シュートストップだったり、1対1の粘り強さ、対応の部分。そこをより磨いてチームを助けられるようになれれば」。守護神不在を守り抜く救世主となってみせる。