ホーム最終戦に過去最多の2143人が集結したヴォレアス 今季V1リーグで得たものとは
■Vリーグ男子1部 ヴォレアス北海道0-3パナソニックパンサーズ(3月10日、旭川市リアルター夢りんご体育館)
成長のための濃密なシーズン経験
さらに大きなクラブを目指す上で、濃密なシーズンとなった。ヴォレアス北海道は今季ホーム最終戦をパナソニックパンサーズと戦った。日本代表クラスの面々が揃う相手に2日連続ストレートで完敗。しかし、両日ともチケットは完売となり、この日は過去最多となる2143人もの観客が会場を埋め尽くした。2試合を残して3勝31敗の9位だが、今季はV1レベルを経験できたことが大きな財産。申請中のSVリーグ参戦に向けて、さらなる成長を期す。
1位通過の相手に3セットは粘り
勝利を届ける形で、ファンを喜ばせることはできなかった。それでもリーグ1位通過を決めた強敵相手に、3セット目は23-25で競り合うなど、見せ場もつくった。張育陞主将(23)は「ラストのホームゲームで勝利を届けられなくて残念。3セット目はいいプレーができた。残り2試合、勝利で終わりたい」と前を向いた。
エド・クライン監督(42)は「きのう(9日)の記者会見でパナソニックさんのプレーが少しでも悪くなってくれればいいと話しましたけど、ただの希望に過ぎなかった」と皮肉も入れつつ振り返った。
苦戦は見えていた初めてのV1
初のV1舞台。昨季まで戦っていたV2からは格段にレベルが上がり、苦戦することは目に見えていた。リベロ(L)の外崎航平(26)は「いいサーブをコースに的確に打ち続けてくる」と相手のサーブ力に手を焼いた。ミドルブロッカーの田城貴之(31)が「ちょっとのミスで即死。ミスが許されない」と話すように、高い集中力が求められる。細かい精度の差が積み重なって、勝敗を分けることが多かった。ここまで挙げられた白星は3つのみ。V2を独走していたヴォレアスでも対等に戦うことは難しかった。
僕らにチャレンジを課してくれた
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勝つか、学ぶか―。クライン監督は勝敗よりもその課程を大事にした。負けが込み、ネガティブになりやすいところで「このリーグでプレーすることがV2で何勝することよりも重要。V1は毎試合、僕らにチャレンジを課してくれる」と選手たちに説き、前を向かせた。
99%はしっかりやってくれた
選手たちも指揮官のポジティブさに応えた1年だった。この日も1、2セットは圧倒されたが、「いい顔してやろう」(外崎)と楽しむことを再確認し、3セット目のプレーにつなげた。クライン監督は「1日、2日ぐらいは良くない日もあったかもしれないが、99%はしっかりやってくれた」と戦い続けた選手たちをたたえ、「全て成長している」と確信する。
レシーブ力は向上して自信に
勝利を伸ばせず、成果が見えにくい状況ではあるが、攻守ともにプレーは向上。「全体を通して、アタックのひどかったチームから、なかなかいいレベルまで来られたと思っている」と指揮官。さらに強烈なサーブに対するレシーブ力も上がっている。「レセプションも相手チームが普通のサーブではなくて、例外的なサーブを打たないと我々を崩せないところまで来ている」と自信を見せる。Lの外崎も「リーグが始まる前より自分の中での対処法が増えている」と成長を実感した。
やばいリーグになるSVリーグ
SVリーグへの申請が通れば、新たなステージで戦うことになる。クライン監督は「本当にやばいリーグになる」と苦笑いした。「代表チームのトップスターたち、ポーランドやブラジルとか、そういったいろんな国の代表選手が来ます」と続けた。資金力も劣り、上位チームと対等に戦うまでには時間を要するが、限られた予算の中でのチーム構築は指揮官の手腕の見せ所。最高峰のリーグでも、戦えるまでの伸びしろは必ずある。