細川凌平 谷内コーチに学ぶユーティリティープレーヤの生きざま 「形が奇麗とか関係ない」
高卒4年目内野手 狙うは自身初の開幕1軍
日本ハムの細川凌平内野手(21)が開幕1軍メンバー入りへ猛アピールを続けている。秀でた走力と堅実な守備力を武器に、内外野全てのポジションをこなす男は、そのユーティリティー性を生かして貴重な1枠を勝ち取るつもりだ。
代打、代走、守備固め。何でもござれの若武者は、チームを支える力を身に付けつつある。本職の二遊間でレギュラーを狙う一方、状況次第ではあらゆるポジションを高レベルで守り切る。1人7役をこなせる存在は、チームにとって何よりも心強い。
大忙しの春季キャンプ 複数ポジションで練習
出場機会アップを狙い、一切の抜かりなく準備を進めてきた。キャンプ期間は外野や三塁、一塁での練習を指定されなかったが、自ら望んでサブポジションの技術向上に励んできた。
「昨年もいろいろなところで起用してもらうことが多かった。二遊間で勝負する中でも、それ以外のポジションも準備をしてきた。自分の中で絶対に(出番が)あるなという予想はできていたので」
8個のグラブを持参 「ユーティリティーっていう枠がある」
事実、沖縄にはファーストミットに加えて内野用4つ、外野用3つと合計8個のグラブを持参。「どこでも守れるユーティリティーっていう枠、ポジションがあると思っている。その部分を自分が担えるのであれば、そこに対する準備をこれからも惜しみなくしていきたい」と力を込めた。
9日の楽天戦で本領発揮 一塁のポジションで好プレー披露
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
人知れず継続してきた練習は、ここぞの場面で生かされる。9日に行われた楽天とのオープン戦(静岡)は、左翼で途中出場。終盤七回には昨季1試合しか守っていない一塁にポジションを移し、いきなり好プレーを披露した。一、二塁間に転がったボテボテの打球を処理すると、素早く投手へトス。広い守備範囲を存分に発揮し、ワンプレーで実力を証明した。
「名護のキャンプ中に1、2回はファーストの練習をしていた。それで急に『行け』と言われても、ああいうプレーができた。準備のおかげかなと思います」
名手に学ぶ日々 常に本番を想定
すぐそばに理想のお手本がいる。昨季まで現役だった谷内内野守備走塁コーチとは、密に会話を交わしてユーティリティープレーヤーとしての生き方を教わっている。
「ただノックを受けるのではなく、どれだけ試合を想定して粘れるか。形が奇麗とか関係なく、アウトにすることが大事やと思う。後から行く選手は、より10割(の成功率)を求められる世界。それを練習から意識している」。イズムを継承し、名手の仲間入りを果たす。
新庄監督も高評価 「給料査定を上げてください」
縁の下でチームを支える男たちの存在を、新庄監督は「細川くんみたいなユーティリティープレーヤーは、1つのポジションを守る選手より、給料査定を上げてくださいと球団の方にお願いしたい。それぐらいのプレーをしてくれている」と高く評価する。
首脳陣の大きな期待を背負う21歳が、V奪還のキーパーソンだ。