《河合CRC竜の眼》 チャナティップ 巧みなステップで翻弄
北海道コンサドーレ札幌の河合竜二CRC(コンサドーレ・リレーションズチーム・キャプテン、43)が、赤黒戦士の魅力に迫る連載企画。今回はMFチャナティップ(28)に注目する。158センチと小柄でも、トッププレーヤーであり続けられる理由とは。
小柄でも一流選手になれること証明
10月中旬から試合にも復帰し、プレーのキレも上がってきた。ドリブルで仕掛けるシーンも目立ち、本来の状態に近づいていると思う。
前への仕掛けはもちろん、バイタルエリアでしっかりボールをキープできる貴重な存在。あそこでチャナがボールを受けるから、DFを引き寄せられる。周りの選手が上がる時間もつくれるし、スペースを生む事ができる。DFとしては、非常に嫌なプレーをする選手だ。
敏しょう性が高く、捕まえるのは簡単ではない。巧みなステップで方向転換も自由自在。158センチと小柄だが、体幹はすごく強く、体を当てられても良い位置を分かっているので、簡単につぶされることもない。背が小さくてもトッププレーヤーになれることを証明している。
故障に関しては本人が一番悔しい思いをしている。パーソナルトレーニングを真面目に取り組み、必死に体をつくっている努力は誰もが認めている。笑顔がトレードマークのチャナが、今季は会う度に暗い顔をしていて、そんな顔はもう見たくないなと思った。
シーズン終了後、タイ代表は東南アジアサッカー選手権を控えており、選出されればオフはおのずと短くなる。来季に向けた調整もまた難しくなるだろう。ただこれはスター選手の宿命。国のため、自分のためと割り切るしかない。休めるときに休み、食事管理も必要。全てを徹底するのは難しいが、何とか少しでも回復して、良い状態で来季を迎えてほしい。
チャナはタイのパイオニアとして、少し抱え込みすぎている感じがある。大きな事を考えず、もっと自分のためにプレーしてほしい。それがクラブのため、母国のためになる。
(コンサドーレ・リレーションズチーム・キャプテン)