《岩本勉のガン流F論》死球で見えたチームリーダーの本気
■オープン戦 巨人1ー5日本ハム(3月16日、エスコンフィールド北海道)
さすがの一言 広角に打ち分ける技術を披露
近づく開幕。絶対的なチームリーダーが万全をアピールした。松本剛に他ならない。一回の第1打席で、いきなりのライト前。二回の第2打席では三遊間を破った。広角に打ち分ける技術はさすがの一言。持ち味をさく裂させた。
肩の仕上がりも万全 チームに欠かせない松本剛
守っても、二回に魅せた。無死一、三塁で吉川の中飛を捕球し、すかさずバックホーム。セーフにはなったが、きわどいタイミングだった。開幕を前に「十分に戦える肩」を見せつけた。新庄監督は野手のレギュラーについて、万波1人と公言した。それでも松本剛がチームに欠かせない存在であることは明白だ。
心の声が聞こえた 「この時期に何してくれてんねん!」
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攻守で順調な仕上がりぶりを披露したのだが、私は4打席目の死球で、それを確信した。デッドボールの瞬間、怒りをあらわにした。ここまでしっかりとつくってきた自負がある。「この時期に何してくれてんねん!」という心の声が聞こえてきた。
投手がどうこうではない。それだけ開幕に合わせ、緊張感を持って毎日、勝負できているのだ。松本剛の2024年バージョン。死球の打席に本気を見た。だからこそ、怖いのはアクシデント。2安打目を放った瞬間、放送席で言わせてもらった。「もうベンチに退いてもいい。仕上がりは万全」と。彼を欠いたら一大事なのだ。
中継ぎ登板した2投手の明と暗
投手陣で目についたのは中継ぎの2投手。明暗が分かれた。まずはマーフィー。三振ゲッツーもあって七回の1イニングを無失点に抑えたのだが、先頭に四球。その後も1安打を許した。力任せの投球は日本のプロ野球に通用しない。再現性の高いフォームから、強いボールを毎回、投じなければリリーフは務まらない。三振ゲッツーがなかったら、試合がひっくり返っていた可能性もある。それだけボールが暴れ、球自体にも重さを感じなかった。次回のマウンドに期待したい。
初球から求められる勝負球
対照的だったのは八回のマウンドに登った金村だ。捕手の要求に対して、ヨーイドンから勝負球を投げられる。2死後、萩尾を見逃し三振に仕留めたボールは見事だった。先発と中継ぎでは意識がまるで違う。困ったら次打者と切り替えが可能なスターターに対し、リリーバーは一人一人との勝負。初球からウイニングショットを投げられなければ務まらない。
スーパーリリーバーになり得る金村
先発枠を争っていた金村。この試合で多面性を見せた。「痛い」「かゆい」を言わなければ、50試合登板も可能。スーパーリリーバーになり得る。ベンチにとっては大きな収穫だろう。これから、リリーフ独特の疲れを経験するはずだが、金村を中継ぎとして起用し続けるか、それともいずれは先発に戻すのか。新庄監督ら首脳陣にとっては、うれしい悩みとなるだろう。