河野竜生が胸に宿すリリーフの流儀「地味でいいんじゃないかな?」
■練習(3月18日、エスコンフィールド北海道)
昨季は50試合登板20ホールド
頼れる左腕が、今季もブルペンの屋台骨を支える。日本ハムの河野竜生投手(25)が18日、エスコンフィールド北海道で行われたチーム練習に参加。シーズン開幕へ向けて充実の汗を流した。セットアッパーを務めた昨季は、50試合に登板し自己最多の20ホールドをマーク。今季も勝利の方程式に定着するため、黙々と結果を積み重ねる覚悟だ。
オープン戦は防御率2・25
走者を出しても崩れない。マウンド上での落ち着き、安定感ある投球は今季も健在だ。ここまでオープン戦4試合に登板し、防御率2・25。与四死球「0」と優れた数字を残している。
好投続けるも「精度がもう少し」
好結果を収める一方で、本人の自己評価は辛口だ。前回登板の16日・巨人戦は1イニングを3者凡退に抑えたが、「投げているボールはキャンプから比べると徐々に良くなってるけど『ここで、このボールを投げたい』というときの精度がもう少しほしい。昨シーズンの良かった頃と比べると、まだまだかな」。一切の慢心なく、ハイパフォーマンスを追い求める。
過酷なリリーフ稼業で
華々しいプロフェッショナルの世界で、派手な光が当たることを良しとしないポジションがある。左腕が生業とするリリーフ稼業だ。抑えて当然で、打たれれば戦犯となる。そんな過酷さを知る男は、1つの流儀を胸に宿してマウンドに立ち続ける。
「僕の仕事は…」
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「僕はリリーフは地味でいいんじゃないかな? って思っている。野手ならクリーンアップ、投手なら先発が1番目立つ。僕の仕事は、その人たちの活躍を潰さないようにすること。抑えることで、先発投手が頑張った試合を白星にできるし、野手の決勝打にもつながる。失敗すると、ただただ僕が負け投手になるだけ。出番は途中の1イニングなので、頑張ってくれた先発や野手の活躍を潰さないようにしたい」
やるからには当然の目標
誰よりも強く、勝敗を背負う覚悟を持っている。その責任感は、勝ちパターンの一角を担う意欲へと変わる。「まだポジションは確定していないけど(勝利の方程式入りは)リリーフをやるからには当然の目標。去年やってきたことに対して自信はあるし、当然その思いはあります」と、力強く決意を語る。
金村の配置転換で中継ぎ陣に緊張感
先発候補の一人だった金村が配置転換されるなど、中継ぎ陣の選手層は厚くなった。並み居るライバルの存在、高レベルな競争はチームに推進力をもたらす。
「みんなが『1回やられたらチャンスはなくなるんじゃないかな?』っていう緊張感を持っている。結果は自己責任なので、1試合も気が抜けない。その状況はむしろ、リリーフ陣が良い方向へ行っているんだと感じられる。失敗が許されない環境の中で、自分のやれることをやるだけですね」
中継ぎに転向し、ドラ1左腕のポテンシャルは開花した。リリーフの矜恃を胸に秘める男は、目立たぬ活躍を繰り返し、縁の下でチームを支える。