高校野球
2024/03/26 15:30

【プロになった道産子球児たち 指導者の目線】高校編 ③駒大苫小牧・佐々木孝介監督「大海は甲子園が終わってから急速に駆け上がっていった」

日本ハム・伊藤大海投手と西武・若林楽人外野手

 北海道から誕生したプロ野球選手の学生時代を見てきた指導者に話を聞く企画「プロになった道産子球児たち 指導者の目線」。高校編第3回は、駒大苫小牧の佐々木孝介監督(37)。2020年のドラフト会議で、日本ハムの伊藤大海投手(26、苫小牧駒沢大出)と西武の若林楽人外野手(25、駒沢大出)が同時にプロ入り。高校時代は2人とも主将だったが、タイプは全く違っていたという。

WBCで活躍「あんなになるとは思わないです」

 伊藤投手は2023年のWBCで侍ジャパン投手陣の重要なピースとして世界一に貢献した。教え子の1年前の活躍を振り返り「あんなになるとは思わないです。ダルビッシュ君の火消し、大谷君の火消しみたいのやってましたし、大したもん」と、予想以上の成長曲線を描く伊藤の姿に思わず頬を緩めた。

2023年3月16日、WBC準々決勝・日本対イタリア戦の五回、追加点を許さずベンチに戻る伊藤(右)を大谷(中央)が迎える

 

入学時「すっげえ細くて大丈夫かなって感じ」

 道南の鹿部町から入学当時は「まず目立たない。すっげえ細くて大丈夫かなって感じでしたけど、走るスピードとか、投げ方とか、走るフォームも奇麗でした。身体能力が高いのが第一印象です。でも目立たないです(笑)」。実際、1年夏まではベンチ入りはおろか、メンバー候補のAチームに入るような存在でもなかった。

「(練習試合で)投げさせてみたら、まあ良かった」

 頭角を現したのは1年秋。「練習試合でたまたま投げさせたんですよ。投手は上の学年にも何人かいて、左も右もそれなりにいた。とりあえず1年生も投げさせる中に(伊藤)大海がいた。投げさせてみたら、まあ良かったですね。ブルペンに入って正面から見るとあんまり良さが伝わらなかったけど、横から見ると130キロも出てないぐらいなんですけど、これいい」と指揮官の目に止まった。三塁手と併用しながら短いイニングからマウンドを任せるようになった。

2013年10月13日、秋季高校野球・札幌大谷との決勝戦の九回、伊藤が自らベースカ-バー入りゲームセット

 

「(田中)将大と似てるなって思う時はある」

 秋の大会では、OBで楽天・田中将大投手(35)も背負った出世番号の背番号15を与え、全道大会4試合全てに起用。3季通じて指揮官初の道大会優勝に貢献した。翌春の選抜甲子園では1回戦の創成館(長崎)戦で完封勝利。「(田中)将大と似てるなって思う時はありました。1年目の時はもう本当に1年生って感じで何回もベンチから声をかけたりしてましたけど、甲子園が終わってから急速に駆け上がっていった。多分ですけど、自分の意識とか世界観が手の届く範囲のものしか見てなかった子が、突然手の届かないところまで一生懸命背伸びしていた」と、伊藤の心境の変化を感じ取ったそう。

2014年3月22日、選抜甲子園の創成館戦で完封した伊藤

 

入学時60数キロが進学時は83、4キロに

 順風万端かと思われたが、夏に右肘を疲労骨折。新チームになった秋も万全の状態ではなかった。「ただ、あの辺りから体もどんどんでかくなってきて、入学時60数キロが80キロぐらいまで増えた。卒業して駒沢大へ行く時には83、4キロ」。3年春からは主将の大役も任せ、精神的での成長も促した。

2015年7月22日、夏季高校野球南大会で北海に敗れた駒大苫小牧の伊藤

 

プロ挑戦の言葉は聞いたことがなかった

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