J1において札幌と他クラブとの差はそこまで開いているとは思わない《河合CRC竜の眼》
札幌の守備のちょっとした甘さを突かれた
北海道コンサドーレ札幌は16日の町田戦(1●2)に敗れ、ホームで痛い連敗を喫した。試合終盤こそ攻撃が活性化していたものの、それまでの時間帯では町田の守備にてこずり決定機をつくれず、逆に札幌の守備のちょっとした甘さを突かれたことが勝敗を分けた。
前半は出来としてそんなに悪くなかった
ロングボールを多用して前線に放り込んでくる町田に対し、札幌は前線からハイプレスを仕掛けるのではなく、相手DFに方向を絞らせて蹴らせる対策を取り、DF岡村が競り勝ったところでセカンドボールを拾うことに注力していた。またロングスローを頻繁に使われることもあってサイドへのクリアに逃げづらい状況を余儀なくされたが、前半を無失点で終えたあたりは出来としてそんなに悪くなかった印象だった。
後半立ち上がりの失点はいただけない
だからこそ後半立ち上がりの時間帯での失点はいただけなかった。自陣左サイドで2対2の状況から崩されたことがきっかけだったが、その場面ではMFスパチョークがマークする選手を自身の背後に置いたのがまずかった。前半にもMF荒野が同様の形で背後を取られるシーンがあったが、ああいう状況ではまず内側に絞って相手とボールを同一視野に置かなければいけないし、そういった動きもハードワークの一環であることを感じてほしい。
判断ミスを突かれて失点したことを反省
また相手が山なりの高いクロスを中央に入れた際に、DF中村はゴール前に移動しGKのカバーに入っていたが、あの軌道のボールではダイレクトでヘディングシュートの選択肢はほぼ無く、頭で落として中に折り返すしかないと判断して自分のマークマンを見るべきだった。結果的にマークを離した選手に先制点を決められたが、スパチョークの対応も含めてちょっとした判断ミスを突かれて失点を喫したことを反省しなければいけない。
そして同21分にもCKから追加点を献上。最近得点を奪えていない中で先に2失点してしまうのは、試合展開を厳しいものにしてしまった。
いい意味で期待を裏切ってくれたルーキー原
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札幌ドームが重い空気になっていた同39分、高卒ルーキーのMF原が嫌なムードを吹き飛ばすプロ初ゴールを決めて1点差に追い上げた。原が今季のチーム初得点を決めるとはおそらく誰も思っていなかっただろうが、いい意味で期待を裏切ってくれた。相手の背後を突いてのゴールとなったが、チームとしてそこをもっと狙っていく必要があると思い起こさせてくれるシーンとなった。MF田中克と共に2人が入ってからチームが活性化するなど、彼らの活躍には目を見張るものがあったし、これだけ活躍したらスタメン入りも狙えるのではないかと思っている。
トレーニングからパスの精度にこだわって
原のゴールで追い上げムードが高まった中で、残念だったのがパスミスが目立ったこと。せっかくこれからという時に起こしてはいけないミスが起きてしまったので、トレーニングからパスの精度にこだわっていかなければいけないと声を大にして伝えたい。
今以上に戦う集団になってほしい
この試合を終えて札幌は1分3敗と未勝利で、2012年以来となるJ1最下位に転落した。ここまでの4試合を見ていて感じるのは「きれいに勝とうとしていないか?」ということ。魅力的なサッカーを見せることはチームにおいて大事なことではあるが、それ以前に「戦う」「フリーランで相手よりも走る」といった根本的なものを忘れてはいけない。正直J1において札幌と他クラブとの差はそこまで開いているとは思わないので、90分+アディショナルタイム、最後の笛が鳴るまで120%で戦えば、十分勝利をつかむことはできるはず。試合が終わったら疲れて動けなくなるぐらいの必死な姿勢を見せて、今以上に戦う集団になってほしい。
荒野は一人で抱え込まず周囲のサポートを受けて
キャプテン就任早々、荒野も難しい局面を迎えていると思うが、こういう時にキャプテンとして何ができるかが問われる。チームとしてもっと戦っていくという一つの方向性に向かわせることが今求められている。今季ここまでの荒野のプレーを見ていると、いろいろなことを背負いすぎている印象を受けるので、一人で抱え込まず周囲のサポートを受けながらチームの状況を好転させていってほしい。
今こそみんなで一丸となって今季初勝利を
ファン・サポーターにとっても今の状況は本当に苦しいものだと思うが、皆さんの応援があってこそチームは勝利することができると思っている。今こそみんなで一丸となって30日の神戸戦(ノエスタ)で今季初勝利をつかみ取りましょう!