【センバツ】別海〝下克上〟ならず…聖地での経験を夏に生かす
■選抜高校野球大会(3月20日、阪神甲子園球場)
▽1回戦 別海0-7創志学園
夏に向けた大きな財産となった。21世紀枠出場の別海は〝下克上〟を狙ったが、創志学園の圧力に押し切られた。先発した堺暖貴(はるき)投手(3年)が丁寧な投球で粘りの投球を見せていたが、影山航大遊撃手(3年)と千田涼太二塁手(3年)の二遊間が失策を犯すなどして流れを手放した。打線も相手先発の山口瑛太投手(3年)に沈黙。中道航太郎主将(3年)が九回に安打を放つ意地を見せたが、わずか4安打の完封負けを喫した。憧れの聖地で感じた全国レベルの野球を糧に、夏の北北海道大会を制しにいく。
全国クラスの左腕を打ち崩せず
投打において、相手が一枚も二枚も上手だった。持ち前の守備は5失策とほころび、攻撃も全国クラスの左腕を打ちあぐねた。中道主将は「自分たちの弱さ感じた。本当に次は夏絶対戻ってくる強い気持ち。ここから3ヵ月ぐらいしかないが、1人1人がもっと意識を高く持ってもう一回戻ってきたい」と決意を新たにした。
左打者7人の打線に先発の堺苦しんだ
先発の堺は7回⅔を投げ7失点(自責3)。創志学園打線はスタメンに左打者を1番から6番まで並べるなど、7人もの左打者が並んだ。塁に出すと何度もスタートを切られた。当然、警戒していたが、二回には二盗、三盗を立て続けに決められ、島影隆啓監督(41)も「三盗はされすぎ」とバッテリーに苦言を呈した。堺も「ピッチャーが嫌がること、揺さぶってきたり、いろいろやってきた」とボディーブローのような攻撃に、手を焼いた。
「二度と体験したくない地獄の合宿」
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皆で逆境を乗り越えて、甲子園にたどり着いた。島影監督が「二度と体験したくない地獄の合宿」と話す昨夏の紋別合宿。朝は散歩から始まり、ゴミ拾い、そして約3キロ離れたグラウンドまで走るのが一日のスタート。気温30度を超える暑さに体調を崩す選手もおり、中道主将も「心身ともにきつい合宿だった」。実戦形式の練習でも、プレーがままならず、島影監督から何度もゲキが飛んだ。千田は「結構怒られました」と苦笑いした。
中道主将が緊急ミーティング提案
ただ、折れることはなかった。中道主将の提案から緊急ミーティングを開き「ここを超えないと」と皆で意識を共有。千田は「そのミーティングで一つになって、そこから秋の大会に向かっていけた」と、確実な手応えが実感として残っている。その言葉通り、何とか紋別合宿を乗り越えたチームの力は確実に向上し、秋の全道ベスト4の好結果につなげた。
大会直前にも大ピンチ
大会前も苦境に陥った。3月11日に行った智弁学園(奈良)との練習試合は0-20の大敗。全国強豪校相手に何もかもうまくいかなかった。いつも活気あふれる練習をしており、元気のある声も一つの持ち味だが、同戦はその声すら出なくなった。寺澤佑翔中堅手(3年)は「声がつながってなかったのが一番の反省。苦しい状況が続いたので、心が折れかけていた」と振り返る。しかし、ここでも選手同士でのミーティングを重ねたことで、どん底からはい上がるのに時間は掛からなかった。「みんながやる気に満ちて、スイッチが切り替わった」と寺澤。このチームワークこそが、一番の強みだ。
チーム初安打の影山「原点に戻って課題を克服する」
この敗戦を無駄にするわけにはいかない。チーム初安打を放つも、失点につながる2失策を犯した影山は「自分たちの実力はまだ北大会にも行けていないようなチーム」と現実を真っ正面から受け止め「原点に戻って、一つ一つ課題を克服する」と、残り3カ月でのさらなる成長を誓った。また一つ、大きな壁を経験した新生別海が、夏の巻き返しへスタートを切る。