北青鵬20歳の誓い コロナ全休明け「2桁勝ちたい」
■14日から大相撲九州場所
大相撲の西十両12枚目・北青鵬(札幌出身=宮城野)が12日、20歳の誕生日を迎えた。あす14日から始まる九州場所(福岡国際センター)に向け、意気込みを見せている。新型コロナウイルスに感染し、新関取として迎えるはずだった9月の秋場所を全休。モンゴル生まれ札幌育ちのホープが満を持して土俵復帰する。1年を締めくくる九州場所で2桁勝利を目指す。
先場所引退の白鵬からエール 新十両が仕切り直し
文字通りの心機一転。北青鵬はようやく新関取として迎える今場所に、着々と準備を進めてきた。一時はどん底に突き落とされた。秋場所が迫っていた9月1日、体調不良に陥った。PCR検査を受けたところ、陽性反応が出た。5日後、日本相撲協会は宮城野部屋に所属する全力士の休場を発表した。
初めてではない。今年1月の初場所もコロナの影響で全休に追い込まれた。この時は部屋の力士に陽性者が出て、濃厚接触者にあたるとされた。またもコロナ。悔しさは計り知れない。
それでも前を向いた。「今更、何も言うことはない。なってしまったことは仕方がない。落ち込んでも何も変わらないので」。目標は綱を締めること。ことあるごとに公言してきた。立ち止まってなどいられない。
2週間を越える隔離期間を経て稽古を再開させた。「最初の3日間はしんどかった」というが、14日の九州場所初日にピタリと照準を合わせた。
気合もみなぎった。自身を角界にスカウトした横綱白鵬(36)が先場所を最後に引退を表明。その横綱から直接、熱いエールを受け取った。「いつだって素直に『お願いします』と言える姿勢が大事。それが強くなるために一番、必要なこと」。目頭が熱くなった。
所要7場所でのスピード出世を果たし、関取となった北青鵬。秋場所は全休を余儀なくされたが、番付は据え置き。「1場所空いた分、九州場所では力を出し切りたい。2桁勝ちたい。北海道の方々にも喜んでもらいたい」。誰よりも相撲に、勝ち星に飢えている。20歳となった大器が九州で力強く再出発する。
(神馬崇司)
■プロフィール
北青鵬 治 (ほくせいほう・おさむ)本名=アリューナー・ダワーニンジ 2001年11月12日、モンゴル・ウランバートル生まれ。5歳の時に札幌へ移り住み、札幌市北光小に入学。同小1年時に札幌すもうスポーツ少年団で相撲を始めた。鳥取西中、鳥取城北高と進学し、19年のインターハイ個人戦で8強入り。得意は右四つ、寄り。202センチ、178キロ。血液型B。家族は両親と妹、弟2人。