田中瑛斗が2軍戦で5回0封 新球スイーパーで毎回8奪三振 助言を受けたのは…
■イースタン・リーグ2回戦 巨人0ー1日本ハム(3月23日、鎌ケ谷スタジアム)
巨人打線を手玉 圧巻のマウンドさばき
まるで別人のような進化を遂げ、面白いように三振の山を築いた。
日本ハムの田中瑛斗投手(24)が先発で5回を投げて2安打無失点、毎回の8奪三振と躍動。最速150キロの直球に2種類のスライダー、得意のシュートなどを織り交ぜて巨人打線を翻弄し、2軍戦ながら今季初勝利を挙げた。
相性抜群の新コンビ ルーキー進藤を高評価
初めてバッテリーを組んだルーキーの進藤と、事前に入念な打ち合わせをしてマウンドに上がった。
「僕の投げたい配球の割合、攻めの理想型をまず伝えて、その日の調子もあるので、崩れた時は良い球をチョイスしてくれと伝えて。しっかり理解してくれて、初めて組んだ感じはしなかったですね」。息をぴったり合わせ、テンポ良くイニングを重ねていった。
内容充実の60球 軸はシュートとスライダー
ストライク先行の危なげないピッチングで、三塁すら踏ませない圧巻の内容。ヒーローにも選ばれた右腕は「きょうは良かったです。シュートとスライダーを軸に、うまく良いところに投げられたかな」と笑顔を見せた。
そして「進藤が、僕が思い描いている球をチョイスしてくれたり、変化が大きい球の時には、構えを工夫してくれたりして、すごい投げやすかったです。きょうはシュートがすごい曲がっていたので、そういうことも早く察知してくれていた。あとは配球のジェスチャーがすごい分かりやすかったです」と相棒をたたえた。
進化を期す2024年シーズン 奪三振がポイント
昨季は多彩な球種をバランス良く投じて打者に的を絞らせず、ゴロアウトを量産するスタイルだった。
一方で「やっぱり僕は三振が少ないので、そこが課題でもあった。三振はノーリスクでアウトが取れる一つの方法なので、そこをなるべく増やしたい」と、空振りが取れるボールの必要性も感じていた。
新たな武器を携えて迎えるプロ7年目
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三振増を目指し、田中瑛は新球「スイーパー」を習得した。これまでのスライダーよりも曲がりが大きく、空振りを奪いやすい球種だ。きっかけは、チームの先輩・伊藤からの助言だった。
「春季キャンプ前の自主トレ期間中に、大海さんがスイーパーを投げていて、どうやって投げるんですかって聞いたんです。今までも何回も聞いたことはあったんですけど、今回聞いた時はすごい体に入って、言われた通りにやったら、すごい曲がるようになった。キャンプ中も『僕のスライダー、チェックしてくださいよ』って話して、お互い見合って、こうやって投げるのかって。大海さんはいろいろな種類のスライダーを投げている。そういうのを見て、同じ球種でも強弱をつけて別の球種に見せられたら、(種類は)倍に増えるなと思った」。この日はカウントを取る通常のスライダーと、決め球の〝大海スイーパー〟を投げ分け、8三振を奪って成長を証明した。
目指すは先発ローテ入り ライバルの存在は「刺激になります」
新庄監督は開幕ローテーションの5枠目を「北山くんと根本くんの争い」と明言している。開幕1軍は厳しい状況だが、シーズンは長い。当初は6連戦がなく、先発を5人で回せるが〝6人目〟が必要になる時が必ず来る。
「常に(ローテ入りを)狙っています。やっぱり今は6枚目の枠に候補としても入れていないのが悔しい。6枚目の候補がたくさんいるので、こっち(2軍)からですけど、少しずつアピールして、最終的に僕が投げていることをイメージしています。(北山や根本の活躍は)刺激になりますし、僕の方が先にプロに入っているので、結果を出さないといけないと思っています」と力を込めた。
好投継続で下克上だ! 新庄監督を振り向かせる!
首脳陣のハートを射止めるには、好投を継続することが絶対条件。「一発(好投した)だけでは上(1軍)に呼びにくいと思うので、続けてアピールしたい」と意気込んだ。
シーズンの最後に笑うため、今はじっと爪を研ぎ、チャンスを待つ。