育成3年目右腕・柳川大晟 2軍戦で自己最速157キロ 栗山CBOの言葉で奮起
■イースタン・リーグ3回戦 巨人6ー7日本ハム(3月24日、鎌ケ谷スタジアム)
圧巻のピッチング 2番手で登板し150キロ超え連発
ライバルの躍進をバネに、育成右腕がまた怪物に近づいた。日本ハムの柳川大晟投手(20)が2番手で六回から登板し、2回1失点ながら、最速157キロをマーク。155キロ越えの直球を連発し、球場をどよめかせた。
入団以来、切磋琢磨してきた同学年の福島が14日に支配下昇格を決め、先を越された。一時は失意に沈んだが、気持ちを切り替え、圧倒的なパフォーマンスを見せつけた。
いきなり魅せた! G秋広を直球で3球三振
出だしから、驚異的だった。六回の先頭で昨季1軍でも活躍した秋広と対戦し、オール直球で圧巻の3球三振斬り。ラストボールで157キロを計測し、自己最速を1キロ更新した。
「自分でもびっくりしました(笑)」と驚きつつ、「調子は良くはなかったんです。普通です。いつも通り」というから末恐ろしい。
すべては血となり肉となる 2イニング目に1点を献上
六回は3者凡退に仕留めたが、回またぎで臨んだ七回は、先頭の中山にストライクを取りにいった初球の直球を痛打され、二塁打を献上。犠打、遊ゴロで1点を失った。
「1イニング目、全力でいって、2イニング目の頭で置きにいっていかれたので、次は先頭を大事にしたいです。入りが悪かったです。初球ストライクがほしくて、軽くいき過ぎました」と反省も忘れなかった。
ともに汗を流してきた同期が昇格 本音を吐露「何もやる気が出なかった」
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どうして俺は上がれないんだ―。福島昇格の一報を聞き、悔しさと失望で自暴自棄になりかけた。
「その日は何もやる気が出なかったので、ボーッと。練習終わったら部屋で寝てました」。日課のウエートトレーニングに向かうことができないほど、落ち込んだ。
「折れるなよ」 胸に刺さった栗山CBOのゲキ
支えになったのは、栗山CBO(チーフ・ベースボール・オフィサー)からの言葉だった。「鎌ケ谷にいらした時に『折れるなよ』というようなことを言ってもらって。僕がめっちゃ悔しがっているのを見て『そう思ってくれてうれしい』とも言われました。目指すのは1軍に上がることではなくて、1軍で活躍すること。ちゃんと、完璧な状態をつくって上がろうと、気持ちを切り替えられました」と感謝する。
木田GM代行やスタッフからも期待の声
木田GM代行や、他のスタッフからも声をかけられ「いろんな人が話をしてくれて、ありがたかったです。時間がたって、落ち着いたのもある。今はちゃんと、ウエートもやっています」と前向いた。
将来性豊かな20歳 今後は先発にも挑戦
当然、球団は柳川のポテンシャルを高く評価している。その証拠に、今後は先発にも挑戦させ、可能性の幅を広げていく予定だ。
育成右腕も「先発の方がチームに貢献できるというか、勝ちにつながる。次(の登板)はたぶん3イニングになる。先発をやることで、リリーフにも生きると思う」と意欲的だ。
誰もが認める逸材 さらなる飛躍へ心機一転
オープン戦での福島の好投は大きな刺激になった。「この前、投げているのを見て、自分も(1軍に)行きたいなと思いました。福島が行って、何日間かぐらいは結構、引きずっていましたけど、今自分が1軍に行ってもそんなに活躍できないなと思うようになった。もっと試合で投げていって、状態を上げて、登板間隔を短くしたり、回またぎだったり、そういうところができるようになってから行きたい」と闘志を燃やす。
今は、雌伏の時。じっくり大きく成長した先に、鮮烈な1軍デビューが待っている。