札幌光星が2億9000万円かけグラウンド全面人工芝化 野球部では道内初&日本最北端
開校90年記念の目玉事業
今年開校90周年を迎える札幌光星高校が、周年事業の目玉として敷地内の土のグラウンドを全面人工芝にすることが分かった。大きな恩恵を受けるのが野球部とサッカー部で、高校の野球部としては道内初、日本最北の人工芝グラウンドの誕生となる。改修工事は7月中旬からで、総工費は約2億9000万円。11月上旬の完成を目指す。
「雨でも練習できる」野球部監督喜ぶ
野球部の合坂真吾監督(47)は「まずなんといっても、雨でも練習ができる」と声を大にした。土のグラウンドの場合、一定量の降雨があると、足元がぬかるみ、水たまりが発生する。スポンジなどを使って人海戦術で水抜きしても、なかなか練習をすることができない場合が多いが、人工芝の場合はグラウンドの下に排水処理が施されるため、短時間で練習を再開することが可能だ。自前の室内練習場を持たない同校野球部にとっては大歓迎だ。
プロ野球本拠地で使用される芝を採用
さらに「グラウンド整備がなくなるのが大きい」と指揮官。同校では19時30分までに完全下校というルールがある。野球部、サッカー部だけではなく、普段の体育の授業で生徒も利用するため、これまで練習後に行っていた整備の時間を、練習に充てることが出来るのは大きなメリットだ。また周囲の民家へ、土ぼこりが飛んで迷惑をかけることも少なくなる。今回導入する人工芝はZOZOマリン、バンテリンドーム、京セラドームなどプロ野球で使用するグラウンドと同じ仕様だ。
秋季全道大会が行われる札幌ドーム対策にも
戦術的な利点もある。2023年7月、南北海道大会の準々決勝と決勝が、内外野が天然芝のエスコンフィールド北海道で初開催され、同10月の秋季全道大会は人工芝の札幌ドームで行われた。今季も同様の予定で「対策もできる」と環境面を最大限に生かし、悲願の甲子園出場を目指す。
低反発バット対策はOBに協力求め…
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今春から始める大きなルール変更にも取り組んでいる。今春の選抜甲子園から、従来よりも反発係数を抑えた新基準の金属バットに完全移行した。飛距離は木製に近く重量は900グラム以上。ルール上、以前から木製も使用でき重量に規制がない。プロ野球選手は800グラム台後半が主流だ。札幌光星では今春以降を見据え、昨秋に大学野球を引退したOBに声をかけて木製バットを10本以上入手。選手に新基準バットと木製バットの両方での練習させてきた。秋の4番・境出賢人内野手(2年)は秋季大会後の練習試合で、木製バットで本塁打をマーク。「芯に当たった時は、そこまで飛距離に差はない。個人的には木製の方が振りやすい。ヘッドが効いてる。いまのところは木製の方が良い」と好感触。春の練習試合などを通じて、最終的に判断するつもりだ。
トレンドは土から芝へ サッカー部も大歓迎
一方、4月14日開幕のプリンスリーグ北海道の2部に相当する新リーグ、FAリーグに参戦する男子サッカー部の小林宏之監督(43)も「うれしいですね」と声を弾ませる。昨年11月、全国高校選手権北海道大会の決勝が、天然芝と人工芝が混在するハイブリッド芝の札幌ドームで初開催されるなど、主要大会は天然芝や人工芝が主流。土のグラウンドでの開催は減少している。U-18プリンスリーグ北海道に参戦する道内の強豪なども、ここ10年間で軒並み人工芝のサッカー場へと環境整備を進めており、小林監督は「これまで土でやっていたので、メリットしかない」と、練習環境の向上に感謝する。さらに「大会に向けて士気が上がります」と気合も入っている。11月の完成を、両部活が吉報という形で花を添える。