水野達稀 劇的V打 屈辱の17打席無安打から2年越しの逆襲開始
■パ・リーグ3回戦 日本ハム3-2ロッテ(3月31日、ZOZOマリンスタジアム)
九回に勝ち越しの右前打 自身初のヒーローインタビュー
日本ハムの水野達稀内野手(23)が31日、ZOZOマリンで行われたロッテ戦の九回に値千金の勝ち越し打を放った。
同点の1死三塁で、抑えの益田直也投手(34)から右前適時打。入団3年目で初めてヒーローインタビューを受け「緊張しましたし、思ったよりマイクがデカいなと。(声が)めっちゃ響いているなと思いました」と初々しくおどけた。
お祭り騒ぎのベンチにクールな男も大興奮!
打の主役は、一塁を回ると、熱く両拳を握った。三走の田宮が生還し、ベンチはお祭り騒ぎ。普段は自らに厳しく、クールに振る舞う水野は、味方が紡いできたストーリーのラストを飾り、あふれる感情を抑えきれなかった。
「内野が前進守備だったので、何とかヒットゾーンに飛んでくれという思いでバットを振りました」。無我夢中でスイングし、大きな1勝をもたらした。
今年でプロ3年目 ルーキーイヤーの22年には開幕スタメン
2年越しの逆襲劇をスタートさせた。プロ入り後、明と暗の両方を体験した。2022年春。打力を売り物にしたドラフト3位ルーキーは、新庄政権1年目の開幕スタメンに抜てきされ、華々しくデビューした。
今も忘れぬ苦い記憶 期待に応えられなかったあの時
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だが、それは試練の始まりだった。ソフトバンクと対戦した開幕カードは、2試合スタメン、1試合代打出場も6打数無安打。その後も、主力クラスの投手に対応できず、17打席ノーヒットで2軍落ちを告げられた。
泣きっ面に蜂 度重なるアクシデントも
鎌ケ谷で再起を図る過程で、右足の疲労骨折など再三、故障にも泣かされた。22年は21試合、23年は31試合の出場にとどまった。1軍の二遊間は、中島、石井、上川畑、細川、奈良間、加藤豪らが担った。
巻き返しを期してスタートした2023年シーズン
即戦力の期待を背負ってプロ入りし、3年目は正念場と位置づけていた。2月の春季キャンプは2軍スタートも、半ばに1軍合流。限られたチャンスに執着した。実戦で猛アピールし、競争を制してレギュラーの座を手に入れた。
好調キープで打率.455 「食らいつく気持ちを忘れず」
この日はプロ入り後初の猛打賞も記録した。今年の開幕カード3試合は全てスタメン出場し、11打数5安打の打率.455。うっぷんを晴らすように打ちまくり「記念になる3安打目が、ああいう(九回一打逆転の)場面で出たのは自信になります」と胸を張った。
一度、プロの壁にぶち当たり、はい上がってきたからこそ、強くなれた。「結果を出して食らいついて、こうやって開幕スタメンを取れた。食らいつく気持ちを最後まで忘れずに、毎日を過ごしたい」。味わった屈辱の記憶が、貪欲に戦い続ける原動力になっている。