駒苫V1から20年 〝恐怖の9番〟五十嵐大さんが札幌大谷高校野球部の監督に
18年神宮大会V当時の飯田主将がコーチに
日本中を興奮に包みこんだ〝あの夏〟から20年。今度は監督で日本一を目指す。2004年夏の甲子園で駒大苫小牧の北海道勢初Vと2連覇に貢献した札幌大谷高校の五十嵐大部長(36)が、4月1日付で新監督に就任した。3月末で退職した船尾隆広前監督(52)の右腕として、18年の明治神宮大会初陣優勝に貢献。当時主将を務めた飯田柊哉元主将(22)が大谷系列の札幌大谷大を卒業して同校コーチに就任。中等部の札幌大谷リトルシニア・金澤大亮コーチ(54)が新部長を務める。新指揮官は早くもチーム改革に着手して22年夏以来の聖地に向け動き出している。
甲子園に行って価値観が変わった
これも運命の巡り合わせか。2年間のコーチを経て2013年から部長を務め、指導者として2度の甲子園出場も経験した。「いずれは(監督に)、という思いは正直あった。僕が選手の時に甲子園に行かせてもらって、価値観も変わりましたし、人の縁も大きく変わった。そういう経験を子供たちにさせたい、と指導者になってからずっと思っていた。今の子たちはコミュニケーションを取りながらが大事。世代に合った対応の仕方。バットが変わり、戦術がいろいろ変わるように、われわれもどんどん変化していかないといけない。人生の中で、監督が選手時代に変わることが今までなかったので、今の子供たちにしか分からない感情はあるかもしれない。けど正直、夏までの時間を考えるとリミットはもう決まってる。前に進むしかない」と覚悟を決めた。
〝反省ノート〟始めました
着任当日はミーティング。新たに取り組み始めたのが〝反省ノート〟の共有だ。「昨日の試合の中で良かった点と反省点とか改善点をちゃんと分けて、しっかり生徒たちにもノートに付けさせる」。それを全スタッフを含めたグループラインで共有。「よかった部分はちゃんとそこで評価して、みんなで拍手して。もちろん口で伝えることが一番いいんですけど、その日のうちにその日のことを、っていうのがあるんで」と、菊地主将と増田副主将が反省ノートのとりまとめを担当。AチームとBチームが違う場所で練習試合を行うことも多く、チーム全体で意識を共有するのが目的だ。
秋のベンチ入りメンバーを完全リセット
3日は静内まで遠征。練習試合は1勝1敗の〝監督デビュー〟となった。「室内練習場では感じられなかったところが、外に出て分かったことも多々あって、試行錯誤中。選手起用も、監督が変われば求めることも変わるのかな」と、秋のベンチ入りメンバーをリセット。新入部員32人を含めた86人中、静内に帯同した選手は全員出場させた。4月6日に予定している鵡川遠征への帯同メンバーも全て出場させる予定で、5週間を切った春季札幌支部大会に向け、サバイバルの真っ最中だ。
原点は恩師の香田監督、茶木部長
指導者を志した原点は駒大苫小牧時代の香田誉士史元監督(52)。「僕の人生が変わったのは高校時代だって間違いなく思っている。香田監督と(部長の)茶木さん。技術的なところも、野球に対しての考え方、気持ちの部分。心技体を育てていただいた方々」と今でも尊敬してやまない恩師だ。