投手成績を眺めていて気づいた。セ・パ両リーグを通じて、２勝を挙げている投手は１人しかいなかった（６日試合前時点）。過去６年で１勝にとどまっていた北浦が７年目の今季、大躍進を遂げようとしている。

　開幕３戦目に５年ぶりの白星を挙げると、その５日後に今季２勝目が転がり込んできた。４時間２２分の大激闘から一夜明け、ラッキーボーイ化している左腕に〝暫定最多勝〟の現状をどう受け止めているか、尋ねたら「野手のおかげです。打ってくれて本当に感謝しています」と恐縮しきりだった。

　勝利を呼ぶ男はチーム内でも、注目の的だ。仲間たちからイジられる機会が増えているという。「ロッカーでもめちゃくちゃ言われる。最多勝で最優秀防御率と、あおられるんですよ。『シーズン終わったら違います』と言い返しています」と頭をかいた。

　勝ち星はコントロールできない部分がある。幸運の星のもとに生まれたのか、日ごろの行いがいいのか―。本人に聞いても思い当たる節はないようで「たぶん、運は悪い方だと思う。際どいところに行った球がボールになったり、そういう場面は多々あったので」と苦笑いだった。２０００年生まれの男性は厄年とされているが、北浦には関係なさそう。シーズンラストまで朗らかに突っ走ってもらいたいと、願っている。