札幌が今季7戦目で待望の初勝利! MF荒野拓馬が記念すべき主将1勝目「やっぱり苦しかった」
■J1第7節 札幌1-0G大阪(4月6日、札幌ドーム)
ついに北海道コンサドーレ札幌が今季初勝利をつかみ取った! ここまで無敗だったG大阪をホームに迎えての一戦。後半28分にMF宮澤裕樹(34)のヘディングシュートで札幌が均衡を破ると、最後まで集中を切らすことなくG大阪攻撃陣をシャットアウトし、見事な完封勝利を飾った。そしてこの勝利は、MF荒野拓馬主将(30)にとっても記念すべき〝キャプテン初勝利〟となった。
札幌の1点リードで迎えた後半アディショナルタイム6分。G大阪のCKのこぼれ球を、MF駒井善成(31)がペナルティーエリア外へかき出した瞬間、試合終了のホイッスルが札幌ドームに鳴り響いた。最後までチームを後押ししようと、手拍子を鳴らしながら歌い続けていたゴール裏の札幌サポーターの声が、割れんばかりの大歓声へと変化した。リーグ開幕から7試合、630分もの時間を要して、ようやく札幌に遅い春が訪れた。
チームの勝利を素直に喜びたい
「ほっとしました。時間はかかりましたけど、まずはチームが勝利できたということを素直に喜びたいです」。3試合連続となるフル出場を果たし、試合終了の瞬間をピッチ上で迎えた荒野は、その心境を率直にそう口にする。「サポーターも僕たちの勝利を待ちに待っていたと思います。まだまだこれからも続くので、もっと良い景色を見せてあげられるように、1勝でも多く届けたいなと思っています」と、この日の勝利をきっかけに反攻へと転じていくことを誓った。
ミシャ体制初の最下位転落
もどかしい日々が続いた。沖縄キャンプ終盤の2月7日、8年間に渡ってキャプテンを務めていた宮澤からその座を引き継ぐことが発表され、チームの新たな顔として新シーズンを迎えた。初陣となった開幕戦こそ引き分けたものの、第2節のアウェー鳥栖戦で大量4失点を喫すると、そこからチームは5連敗。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(66)政権では初となるJ1最下位へと転落した。
チームを前向きにするために
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勝利が遠かった約1カ月半を振り返り、「やっぱり苦しかった」と心境を吐露するが、それでも「僕たちは下を向かず、前を向いて戦わないといけない」と、決して折れずに闘志を持ち続けた。「チームが自信を失いかけている中で、チーム全体で同じ方向を向いていけるように、ポジティブな声掛けをしたり。正直、苦しい時間でしたけど、僕自身はポジティブな人間なので、勝利のためにチームを前向きにするために、そこをぶれずにやってきました」。
宮澤「1人1人が責任感持って」
苦しい状況でもファイティングポーズを保ち続ける姿を、チームメートたちもしっかりと見ていた。3日の名古屋戦を前に、前任者である宮澤は「チームをまとめるために彼はベストを尽くしている」と後輩の仕事ぶりを評価した上で、「拓馬だけがやればいいということでもない。1人1人が責任感を持って今の状況を変えていくためにやっていかないといけない」とチーム全体に奮起を促した。
GK菅野は顔面を蹴られながら
直後の名古屋戦こそ悔しい逆転負けを喫したが、中2日で迎えたこの一戦で札幌イレブンは気迫のこもったプレーを披露してみせた。荒野はチーム一丸でつかんだ勝利の要因を「みんな体を張って、体を投げ出して守っていた。スゲさん(GK菅野孝憲)も顔面を蹴られながらでもゴールを守っていて、そういった1人1人の気持ちというのが実った」と語り、胸を張った。
〝札幌のエンジン〟が加速させる
ようやくつかんだ今季初勝利。だがチームは依然として暫定最下位に沈んでいる状況であり、この1勝で浮かれてはいけないことは肝に銘じている。「まだ1勝しかしていないので。これからまた積み上げていかないと上にも離されるし、逆に積み上げていけば差が縮まって上位争いに食い込めると思うので、今日とか前回の名古屋戦の戦いをベースにやっていきたいと思っています」。待望の白星を得て、ようやくの船出となった札幌。その船を〝札幌のエンジン〟と呼ばれる荒野が強力に推進させ、先を行く船団を追いかけていく。