■東都大学１部春季リーグ（４月８日、明治神宮野球場）
▽駒澤大２－１中央大

　〝戦国東都〟で初陣１勝！　東都大学１部春季リーグが８日に開幕し、今春から就任した香田誉士史監督（５２）率いる駒大が中大との接戦を制し、開幕白星を挙げた。攻撃ではヒットエンドランやバスターなどの作戦を積極的に多用。守備では３投手を継投し、１点差で逃げ切ることに成功した。

太田誠終身名誉監督も見守った記念すべき初陣１勝

　張り詰めていた緊張の糸が緩み、安堵の表情を浮かべた。現役時代以来となる「KOMAZAWA」のユニホームに「身の引き締まる思い」と自然と背筋は伸びた。「みんな頑張ってくれて、この結果になった。まずはホッとした気持ち」と記念すべき勝利に胸をなで下ろした。同大の太田誠終身名誉監督（８７）も見守った一戦。「いい姿を見せたいと思っていた」と結果で示すことができた。

ヒットエンドラン、バスターと仕掛けて逆転成功

　積極的な采配が光った。一回に１点を先制された直後の攻撃で、無死一塁とすると、２番・平井友弥内野手（４年）の初球でヒットエンドランを敢行。高めのボール球だったこともあり、遊飛と不発に終わったが、試合の流れを引き戻そうとすぐさま動かした。同じく１点を追う三回無死一塁の場面では、初球からバスターを成功させて好機を拡大し、３番・角田蓮内野手（４年）の逆転２点適時打につなげた。「いつも通り、取り組んでやっていたことなので、思い切ってやりました」と臆することなく、攻撃のタクトを振るった。

１点リードを守るため「采配勝負」腹くくった

　リードはわずかに１点。いつ流れが変わってもおかしくない展開が続いたこともあり「采配勝負」と腹をくくった。七回１死一、二塁の場面で中大が右の代打を送ってくると、先発左腕の髙井駿丞投手（４年）から横手投げ右腕の中山颯太投手（４年）に迷いなくスイッチした。その後、代打の代打で左打者を送られたが「目先が変わるので、左（打者）であっても大丈夫」と信頼してマウンドに送った。中山も最初の打者を三振に仕留め、次打者の打席ではけん制で一塁走者を刺してピンチを脱した。八回からは「仲井につなぐのは決めていた」と１４０キロ後半の直球を投げ込む仲井慎投手（２年）をマウンドに送ると、２年生右腕も指揮官の期待に応えるパワーピッチで試合を締めた。

駒苫の甲子園初Ｖから２０年　次は駒大を３０年ぶりＶへ

　就任から約２カ月、早急にチーム作りを進めてきた。昨年までは西部ガスの監督を務めており、母校のチーム状況に詳しくなかったからこそ、「実績とか関係なくフラットな目で見て」公平な競争を生み出すことができた。まだ一つの勝利に過ぎないが、新天地での大きな一歩となったに違いない。２０年前、駒大苫小牧高を頂点に押し上げたように、今度は駒大を３０年ぶりの春季リーグ制覇へ導く。