北海学園札幌の新監督に北海・2016年甲子園準V戦士の三浦琢斗さん
札幌商業時代の1931年に夏の甲子園で8強入りするなど、春夏通算10度出場している北海学園札幌の新監督に、昨秋までコーチを務めていた三浦琢斗さん(25、北海学園大出)が就任した。北海高3年の2016年に夏の甲子園で準優勝した経験を土台に、3季通じて16年夏を最後に支部敗退が続いている古豪再建の舵取りを担う。
昨年創部100周年 古豪再建任せろ
昨年創部100周年を迎えた。「正直、監督をやりたい、なんて欲は、1ミリもなかったです(笑)。ずっと高校野球に携わりたかったんですけど、立ち位置が監督とか、こだわりはない。コーチ時代とスタンスはほぼ変わらずやっています。今の3年生に対して2年間そういう感じでやってきていたのが、いきなり変わるのも変なので、今まで通り指導していく。新たなスタート、新たな歴史を作りたい」と、部員に寄り添いながら、勝利を追い求めていく。
延長タイブレーク負けが続き「負けない強さを」
競り合いの勝負強さを身につける。昨春は代表決定戦の北海戦で七回まで2-2も終盤に突き放された。夏は札幌支部初戦で札幌北に六回まで1点差リードを追い付かれ、延長タイブレークで逆転負け。秋も札幌支部準決勝でリードしてから追い付かれて延長タイブレーク負け。「ここ3年間、夏の大会では全部延長戦で負けている。粘りというか、一戦必勝の積み重ねで負けない強さを持っておけば、そこにたどり着く。負けないチームになるために、自分で負けない、自分に嘘つくな」と、自分に厳しく向き合うことを求めている。
吉永主将「監督の交代 最初はびっくりした」
昨秋の敗戦をコーチとしてスタンドから戦況を見守った。「生徒たちは目標を見失ってた時期もありました。油断してたわけじゃないですけど勝ちきれない。子供たちは直接は言ってこないですけど、このままどうなんだ? みたいな感情が、もしかしたらあったのかもしれない」。吉永大悟主将(3年)は「秋は考える力、繋げることが足りていなかった。監督の交代は最初はびっくりしたけど、今はやること1つ1つに意味を持って、メニュー全てがつながりを持つように意識している」と、新監督の方針を信じていていく。
母校の平川監督にアドバイス求めたら
監督就任後には、母校の平川敦監督(52)に監督としての心構えなどを助言してもらいに行った。ところが「自分でやらないと分からないから、自分でやれよ」と、厳しいゲキを入れられ、逆に覚悟ができた。「今は秋に負けた悔しさを、夏にどうやって借りを返すか」。これまでの冬は、主に室内練習場での練習だったが、この冬は敷地内の陸上ホッケー部が使う人工芝グラウンドを部員総出で雪かきして、雪上ノックやキャッチボールを行うなど、新たな取り組みにも着手。吉永主将は「イレギュラーが多く、対応する練習になる」と、前向きに取り組んできた。
強烈だったのは「秋の1回戦負け」
自身の経験を重ねている。三浦監督は甲子園準優勝よりも脳裏に焼き付いているのが「秋の1回戦負けじゃないですかね」と振り返る。北海2年の夏にもチームは甲子園に出場したが、自身はベンチ外。秋の新チーム発足時、平川監督から「歴代最弱」と評価された。三浦監督は背番号15でベンチ入りしたが、札幌支部1回戦で立命館慶祥に0-6敗退。「いまでも覚えてますよ。平川監督が『お前らが甲子園行ったら映画作れるよ』って話したてたの」。翌夏、甲子園の決勝まで勝ち進んだだけに「ここ(北海学園札幌)に来てから、ずっと全道大会に出れていない。自分は高校生の時に甲子園でいい思いをできたので、子供たちにもそういう思いをさせてあげたいってずっと思っています」。部員にも「現実味ないかもしれないけど、小さな積み重ねで、あれ?、あれ?、で気づいたら甲子園」と当時の話をする事があるという。
1980年以来の聖地へ 新体制で一丸
チームは1980年を最後に聖地から遠ざかっているが「チャンスがある以上、目指さない理由はない」と指揮官。2004年の校名変更後、甲子園が懸かった大会では08年秋の全道準優勝が最高成績。吉永主将も高校ラストイヤーへ向け「やってきたことをぶつけて、足りないことを夏までに修正したい。春の大会でまずは全道大会に出場。夏は甲子園を目指します」と、キッパリ。雪解けが進み新芽が吹き出すように、新体制の古豪が固い土を突き破り、空高く伸びていく。