MF宮澤が何としてもJ1に残留するんだという気持ち見せてくれた《河合CRC竜の眼》
勝ちたい気持ち チーム全体から伝わってきた
6日に行われたホームG大阪戦(1〇0)で、ついに北海道コンサドーレ札幌が今季初勝利を手に入れた。この試合までチームは5連敗を含む6戦勝ち無しで、前節の名古屋戦(1●2)では前半は良い流れでプレーしていたものの逆転負け。チーム状況が悪い中ではあったが、流れがどうこうという以上に、チーム全体から勝ちたいという気持ちが伝わってきたゲームだった。
決勝点となったのが後半28分のMF宮澤のヘディングシュート。宮澤のプレーについては後述するが、MF長谷川がクロスを上げた場面では札幌の選手がペナルティーエリア内に5人入っていたし、クロスに対しても宮澤を含めて3人が反応したことで、しっかり相手を崩すことができた。改めて攻撃に枚数をかけることの大事さを実感できたシーンであったし、長谷川のクロスの精度の高さも際立っていた。
後半開始直後 GK菅野がよく止めた
この日は守備も最後まで相手に付いていけていた。後半開始すぐに裏へ抜けられた場面では、GK菅野が相手選手と接触があった中でよく止めてくれた。本当にチーム一丸となって勝ち取った勝利だった。
何と言っても宮澤 抜群の存在感
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そして何と言っても宮澤だ。名古屋戦でケガから復帰してきたが、抜群の存在感を示した。チームのリズムもつくれるし、時間もつくれる。味方が推進していけるようなパスを出し、チームの歯車をうまくかみ合わせるようなプレーをして、改めてサッカーIQの高さを感じさせられた。G大阪戦ではチームが勝てていない状況で決勝ゴールを決め、まさに大車輪の活躍ぶりだった。J2降格やJ2での戦いを知る選手が少なくなってきた中で、降格の悔しさを2度味わっている選手だけに、何としてでもJ1に残留するんだ、という気持ちを見せてくれたと感じている。
パスを受けるタイミングやアングル、パスの精度など、宮澤は本当にお手本のようなプレーを見せてくれる。若い選手たちは良いお手本として見習うべきだし、逆に中堅どころの選手たちは、そういったプレーを宮澤ばかりにやらせるのではなく、自分たちでやるようにしていかないと、今後の札幌の発展は無いということを肝に銘じてほしい。今年で35歳になる宮澤が、いつまでもチームにいるわけではないのだから。
ハードワーク心がけ2連勝して
ようやく1勝を挙げた中で迎えるのが次節のアウェー新潟戦(13日、デンカS)。ここで大事なのは、勝った勢いをしっかりと続けることだ。そのためにも、この2試合で宮澤が見せてくれたような縦に長い距離を走るフリーランや、3人目の動きなどで、全員がボールに関わっていくことが大切になる。あとはG大阪戦で勝利した瞬間、実際にピッチ上に倒れ込んだ選手もいたが、それぐらいの戦う気持ちを忘れないでほしい。度々コメントしているが、90分+アディショナルタイム、試合終了の笛が鳴るまで戦うことで、ようやく勝ち点が取れるものだと思う。そのことを忘れずにハードワークを心がけて、2連勝を決めてほしい。
17日ルヴァン杯沼津戦 中山監督に情けは禁物
新潟戦後の17日にはルヴァン杯沼津戦がある。相手チームの指揮を執るのは、かつて札幌でもプレーした中山雅史監督。私も2011年、12年と一緒にプレーさせてもらったが、本当のプロフェッショナルというものを感じさせてくれた選手だった。宮澤やMF荒野は同時期に在籍していたこともあって感慨深いものがあると思うが、もしかすると今いる選手たち以上に私たちフロント陣の方がそういう気持ちを抱いているかもしれない。だが試合においては情けは禁物。良いサッカーをすると聞いているし、相手のホームでの戦いになるが、相手どうこうではなく自分たちのサッカーを貫いて、ジャイアントキリングを許すことなく3回戦へ駒を進めてほしい。