台湾の至宝・孫易磊(スン・イーレイ) ライブBPで快投 実戦デビューへ準備着々
育成の3野手を相手にノーヒット投球
台湾から来たダイヤの原石は順調に、その右腕に磨きをかけている。日本ハムの孫易磊投手(19)が10日、鎌ケ谷で実戦形式の打撃練習(ライブBP)に登板した。
山口、阿部、梅林の打者3人と5打席対戦し、24球を投げて無安打4奪三振。最速150キロを計測した直球を軸に、2軍首脳陣の前で圧巻のパフォーマンスを披露した。
自身も納得のピッチング 「9割近くにはなってきている」
今月中の実戦デビューが見込まれる育成右腕は「きょうは実戦を見据えて、バッターと対戦する気持ちを思い出して投げることを意識しました。実際に試合になっても、あんまり考えすぎずに、バッターと勝負することが大事なので、そうすることができるように準備しました」と、この日の狙いを明かした。
「全てがめちゃくちゃ良い、というわけではないですが、リリースの感覚は悪くはないです。もうちょっと、うまくできたかなというところもありました。状態は良い時と比べて8割5分、9割近くにはなってきていると思います」と上々の手応えを口にした。
将来性豊かな19歳 メジャー挑戦も視野
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昨年9月に球団と4年契約を結んだ。将来はメジャー挑戦を夢見るが、まずは支配下昇格を目指し、2軍でじっくり心技体を鍛えている。
「シーズンに入っていくために、日本の練習一つ一つに慣れていこうとしているところです。ルーティンに慣れて、一つずつ目標をクリアして、という感じです」。異国の地での新たな体験に刺激を受けながら、充実の日々を過ごしている。
練習後の入浴でリフレッシュ 仲の良い選手は加藤大
現在は2軍施設にある「勇翔寮」で暮らしている。特にお気に入りの〝日本文化〟は、練習後に入る温かい風呂。「お風呂が、めちゃくちゃいいです。台湾で、選手寮にお風呂があることはあんまりない。練習が終わったら、シャワーを浴びて、お風呂に入る。自分が入るタイミングは誰もいないことが多いですけど、誰かいれば、少し話もしますね。(新人の)加藤大和とはかなり仲良くなりました。いいリフレッシュになっています」と笑顔を見せた。
ドラマや音楽で日本語を勉強
日本語習得にも前向きに取り組んでいる。最近覚えた言葉は「ばけもん(化け物)」。人間離れした投球をする選手という意味で、自身も周囲からよく言われているという。単語力向上に一役買っているのは、日本のドラマや音楽だ。「勉強して単語を覚えるのが苦手なので、他の方法を使って。今は『忍びの家』を見ています。戦うシーンが面白いです。音楽も聴くようにしていて、(緑黄色社会の)『花になって』とか、よく聴きます」。チームメートとも積極的に会話し、「全て理解ができるわけではないんですけど、聞かれたことに答えたり、正しいか分からないですけど、自分が分かる範囲の日本語でコミュニケーションを取っています」と努力を重ねている。
母国の震災に心痛 「自分が頑張って、少しでも力に」
今月3日には、台湾で大地震が発生した。親族や関係者の無事は確認できたが、被災した母国の人々を思い、心を痛めている。
「自分が頑張って、少しでも力になれたら」と願いを込めた。右腕の初実戦は、故郷でも注目を集めるだろう。大きな期待を背負う19歳は日本のマウンドから、希望を届けるつもりだ。