水谷瞬 デビュー戦でプロ初安打&初打点! 青春時代の葛藤を乗り越え、晴れ舞台へ
■パ・リーグ2回戦 日本ハム3ー6ソフトバンク(4月11日、福岡・北九州市民球場)
プロ6年目の大型外野手 記念すべき一戦でタイムリー
日本ハムの水谷瞬外野手(23)が11日、北九州で行われたソフトバンク戦でプロ初出場を果たした。「6番・左翼」で先発すると、三回1死満塁の好機で同点打をマーク。デビュー戦でプロ初安打と初打点を同時に記録した。
プロ6年目を迎えた未完の大器が、古巣との一戦で野球人生の第2章を歩み始めた。
チャンスで勝負強さを発揮 「チームに貢献できた」
強烈な一打で、メモリアルな日に花を添えた。思い出の土地で、持ち味のパワフルな打撃を披露し「素直にうれしい気持ちもあるけど、課題も出た一日。結果的にヒットが出てチームに貢献できたことは良かった」と柔らかな笑みを浮かべた。
古巣のソフトバンクにも感謝 記念球は生観戦の母へ
愛着あるソフトバンクや九州へ、感謝の思いが次々とあふれ出た。「5年間、育てていただいた球団。ずっと応援してくれた方も球場に来てくださった。(初安打を)テレビの放送や、リアルタイムで実際に見ていただけた。九州で1本出たことが一番うれしいです」と、はにかんだ。記念のボールは試合後すぐ、観戦に訪れていた母に手渡した。
野球が嫌になったあの頃 新グラブにも心動かず
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
青春時代の葛藤を乗り越えて、晴れ舞台にたどり着いた。石見智翠館高で3年に進級する直前、水谷は野球への情熱をすっかり失っていた。「高3に上がる前の冬に、何かがあったわけではなくて、本当に野球自体をやりたくなくなった」。技術や体力が飛躍的に上向く〝成長期〟にもかかわらず、モチベーションは皆無だった。
「グローブが2月1日に届いたのに、僕は初日と型付けする2回しか触らなかった。だいたいの高校生って、新しい物が来たら触りたくなるけど、それぐらい野球がやりたくなかった。大学で続けようという気持ちもありませんでした」
〝プロ注〟にモチベーション上昇 「夏までは頑張ってみよう」
豊かな才能を持て余した球児に、再び立ち上がるきっかけを与えてくれたのは一冊の雑誌だった。各地方の注目選手やドラフト候補が掲載されたページをめくると、水谷の名がひときわ大きく取り上げられていた。
「うちの高校からも何人かピックアップされていたけど、僕は全国版の注目外野手25人に入っていたんです。秋の大会まで6番打者で、たいした打ってもいないのに載せてもらった。当時の4番でさえ、載ってなかったのに。それでもう少し、夏までは頑張ってみようという気持ちになりました」
力強く確かな一步 さらなる飛躍へ気合十分
自覚はなくても、どこかで見ていてくれる人がいる。思わぬ形で背中を押された青年は、たくましく成長を遂げて、1軍選手の仲間入りを果たした。
「きょうは良い一日だったと思うけど、また切り替えます。次にチャンスがもらえたら、そこで結果を出せるように頑張ります」。サクセスストーリーは始まったばかりだ。