【’24ドラフト道産子有望株】①北照のUー18侍ジャパン候補・146キロ左腕・高橋幸佑投手
5月から各地で春季全道高校野球の支部予選
今年は甲子園開業100周年。夏の全国高校選手権の前哨戦となる、春季全道高校野球の支部予選が、5月上旬から全道10支部で開幕する。道新スポーツデジタルでは、この秋のドラフト会議で指名が期待される選手を先取り。「’24ドラフト道産子有望株」と題して紹介する。
第1回は、4月4日から6日まで奈良県で行われた日本代表「侍ジャパン」U-18代表候補選手強化合宿に、北海道からただ1人選出された北照の左腕・高橋幸佑投手(3年)。中学までの2段モーションを高校では封印していたが、今春の解禁を追い風に同合宿では自己最速を更新する146キロをマーク。一躍全国に名を知られた。夏までに150キロの大台到達を目標に掲げ、同校5年ぶりの甲子園出場を狙う。
代表候補合宿の紅白戦で2イニング1安打無失点3K
代表候補のメンバーは全員3年生で、選抜甲子園で優勝した群馬・健大高崎の佐藤龍月投手(2年)らは選出されていなかったが、大阪桐蔭・平嶋桂知投手(3年)ら全国の精鋭15投手が参加。その中で高橋は1回の表と裏の2イニングを投げ、プロ注目の神村学園の正林輝大(3年)を外角直球で空振り三振に仕留めるなど、7人と対戦し1安打無失点3奪三振。「紅白戦では、自分の一番自信のある真っすぐも、すごいキレもあって、出力も出せていて、小倉監督にもお褒めの言葉をいただいた」と自信を深め、集まった12球団のスカウトにも強烈な印象を残した。
関東遠征では横浜、浦和学院、二松学舎、健大高崎、千葉商大、学法石川と対戦して5勝1分けと負けなし。「このまま、甲子園まで負けなしで行きたい。十分狙えるチームになってきてると思う。まずは甲子園に出場することを目標にして、そこから上林先生に勝利をプレゼントしたい」と意気込む。
憧れはWBC日本代表左腕(高橋の投球動画あり)
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昨秋は背番号11番。今年に入り一気に頭角を現した。横浜との練習試合は雨で打ち切りになったが先発して五回無失点6奪三振。二松学舎戦でもスカウトの前で好投した。「真っすぐでどんどん押していくタイプ。真っすぐで三振をとって、変化球をしっかりコースに決めて、カウントが取れて、ランナーを出しても点を取られない投球が理想」。同じ左腕でWBC日本代表にも選ばれたオリックス・宮城大弥投手(22)に憧れる。変化球はスライダーとカーブ、チェンジアップが持ち球だが、得意なのは「90キロ台のスローカーブ。それもちょっと宮城選手に似せたような」。球速差約50キロの緩急で打者を翻弄する。
〈動画:高橋投手の投球フォーム〉
悔しい延長タイブレーク負け
選抜甲子園出場が懸かった昨秋の全道大会1回戦の旭川実業戦。相手先発はロッテ・田中楓基投手(20)の弟で、最速147キロ右腕・稜真投手(3年)。高橋は1点リードの八回1死一塁のピンチで2番手として救援に向かったが、2死満塁から押し出しで同点にされると、延長十回タイブレーク2死一、二塁から2点二塁打を浴びてサヨナラ負け。「今でもなんで負けたんだろうと思い出すことがある」。2度と悔しい思いをしないため、冬は下半身を徹底的に鍛え、体重は72キロから80キロへ。スクワットでは20キロ増の170キロを挙げる。同時に体幹も強化。これまで投球後に三塁側へ流れていたフォームも改善し、ロスなく出力をまっすぐ打者に向かって乗せることができるようになった。
最も大きかったのは、2月に改正された投球フォームのルール変更だ。これまで禁止されていた2段モーションが解禁。高校入学後は〝1段モーション〟に矯正していたが「この高校3年生になるタイミングで解禁なったっていうのも、でかいです。このゆっくりなところから、スパっていくストレートが自分の中では一番しっくりしてます」。縛りから解き放たれ、元々持っていた潜在能力が開花した。
元プロの先輩からゲキ入れられ試行錯誤
「プロ一択です」と公言する。プロの世界を知る身近な先輩から、アドバイスをもらった。昨季までコーチを務めた元オリックスの吉田雄人さん(28)、3月からテクニカルアドバイザーに就任したオリックスの元スカウト・上村和裕さん(41)のOB2人だ。「プロの世界は厳しいよ、とすごく言われました」。中でも上村アドバイザーからは「プロに行ってから後悔すると、すぐ切られちゃう。後悔するなら今の方がいい、と言ってもらっています」。今はトライ&エラーを繰り返し、課題克服に努めている。
プロに行きたい理由は両親のため。札幌生まれで神奈川育ち。北照では寮で暮らす。「今までお母さんお父さんにも頑張ってもらった。一般入試ですごくお金もかかったと思うので、その面でも恩返ししたいです。夏までに150(キロ)出したい。プロに入ってからが本番です。宮城投手みたいな選手にもなりたいですし、目指すは億プレーヤー」。本物の侍入りへ、自慢の投球に磨きをかける。