金村尚真 自己最速154キロを計測し4登板連続ホールド 先発志望の右腕が感じるリリーフの楽しさとは
■パ・リーグ1回戦 日本ハム1ー0オリックス(4月12日、京セラドーム大阪)
新ポジションで見せ続ける快投 5戦で防御率0.00
セットアッパーがすっかり板についてきた。日本ハムの金村尚真投手(23)が1点リードの八回からマウンドに上がり、1回を1安打無失点に抑えた。
今季、主戦場を先発から中継ぎに移し、この日が5試合目。自己最速の154キロを計測するなど、150キロ超えの直球を連発し、4登板連続ホールドをマークした。
反省と前進の日々 自身も納得のピッチング
「どうしても、前回の登板も(緊張して)ガチガチで行っていたので、きょうはリラックスして投げられるようにフォームも変えて、それが良かったんじゃないかなと思います」
根負けしない精神力 ヒット許すも後続をピシャリ
試合途中からの登板も、緊迫した1点差ゲームも、もうお手のものだ。1死から若月にファウルで粘られても「追い込んでから3―2まで粘られたので、やっぱりすごくいいバッター。でも、絶対にフォアボールだけは出さないぞという思いで投げていました」と冷静さは失わない。13球目を二塁への内野安打とされたが、続く西川を二飛、西野を左飛に打ち取り、グラブを軽く叩いた。
中継ぎの難しさを痛感 「きつい部分もあります」
大卒2年目のスタートは、理想通りではなかった。キャンプから開幕ローテーション入りを目指し、アピールを続けたが、昨季のセットアッパー・池田をけがで欠くチーム事情もあり、中継ぎ転向が決まった。
先発とリリーフでは、体と心の準備の仕方がまるで違う。「もちろん、先発をやっていた分、毎日試合に入るのはメンタル的にきつい部分もあります」と日々、難しさを痛感している。
前日11日のソフトバンク戦でも実感
前日11日のソフトバンク戦(北九州)では、3―3の同点で試合が進み、八回の登板に備えて肩をつくった。しかし、七回裏にチームが3失点し、一度は白紙に。それでも、九回に味方が追い付けば、マウンドに行く予定だった。
「やっぱり難しいなと思います。準備して、また準備して、でも(ブルペンで)投げすぎてもダメですし。1年間のことを考えて、目の前のことだけでもダメだなと思うので、そこは難しいとこだなと思います」
発見したリリーバーの醍醐味
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試行錯誤しながら、開幕から2週間が過ぎた。沖縄出身右腕は、リリーバーでしか味わえない「楽しさ」にも気付いた。
「チームが勝つと、すごくうれしいんです。もちろん先発の時も、チームが勝ったらうれしいんですけど、先発だとどうしても、(投げる日以外はベンチに入らないため)試合を映像で見ているので。チームが勝った時に、その輪の中に入れるのは、すごくうれしいこと。メンタル面はきついですけど、その分うれしさがあるので全然、苦ではないです。1年間、喜怒哀楽が多くなるんだろうなと思います」
回またぎで感じる自身への期待 「それに応えないといけない」
今季5登板のうち、すでに2試合で2イニング目を任される回またぎを経験した。当然、1イニングのみで降板する場合に比べて負担は増えるが、首脳陣からの〝信頼の証し〟と前向きに捉えている。
「信頼されているなというのはすごく思いますし、やっぱりそれに応えないといけない。先発をやっていた分、ずっと中継ぎをやっていた人よりは、まだ回またぎもいいのかなとは思うので、そこはうまくこれからも慣れていきたい」
疲労回復とリフレッシュに注力
昨季は右肩痛で長期離脱を強いられた。けが予防のためにも、体と心のリフレッシュを大事にしている。
「オンオフはしっかりしようと思っています。一日一日、投げるかもしれなくて肩をつくったりもするので、疲労はたまる。トレーナーさんにもこまめに見てもらって、投げすぎないようにしながら、ホテルに帰ったら湯船に長く漬かって、しっかりリラックスします。あと、試合中は中継ぎの投手の皆さんが楽しい話をしてくれるので、試合が始まってずっと張り詰めているのではなくて、投げる前まですごくリラックスしてやれているので、そこはすごくありがたいです」。ともに過ごす時間が長いリリーバーの先輩たちに感謝した。
見据える先発再転向 「リリーフでの経験を生かす」
目標を、諦めたわけではない。いつかは中継ぎでの経験を生かし、先発で花を咲かせるつもりだ。
「先発の道もまだあると思うので、リリーフでの経験をどんどん先発に生かしていけたらいいなと思いますし、今後の僕の投球につなげていけたらいいなと思う。プラスに考えてやっていきたいです」。まずは置かれた場所で結果を残し、自分の理想を追い求める。