新旧23番対決に燃えた伏見寅威 零封負け阻止する輝星撃ち
■パ・リーグ2回戦 日本ハム1-5オリックス(4月13日、京セラドーム大阪)
「負けられない思いでした」
日本ハムの伏見寅威捕手(33)が13日、京セラドームで行われた古巣のオリックス戦に出場し、昨オフにトレードで移籍した吉田輝星投手(23)から中前適時打を放った。今季初タイムリーをマーク。オリックスの背番号23を継承した後輩右腕との対戦に燃え「代打を送られるかなと思っていた。でも打席に立たせてもらえたので、新旧23番対決に負けられない思いでした。1本出て良かったです」と表情を緩めた。
フルカウントから8球目のスライダーを中前へ
昨オフにトレードで移籍した吉田が九回のマウンドに上がった。日本ハム戦は初登板で、スタンドが沸いた。2死三塁となり、バッテリーを組んだこともある伏見が打席に入った。5点ビハインドの場面。冷静にボールを見極めながら、ファウルで粘り、フルカウントから8球目のスライダーをはじき返した。
共に過ごした23年は濃密な時間
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
伏見がオリックスからFA(フリーエージェント)で移籍してきたのが、2022年オフ。吉田とチームメートだったのは23年シーズンだけだが、素質を認めていた。ブルペンや実戦で受けた後に捕手目線、打者目線で助言を送るなど、積極的にコミュニケーションを取り、濃密な時間を過ごしていた。
「最後はあがけたかな」
この日、所属チームが入れ替わる形で、対戦が実現した。気に掛けていた有望右腕との真剣勝負は熱く「僕は1年間しか(一緒に)やっていないんですけど、すごく仲が良いですし、かわいい後輩だったので。対戦自体はすごい楽しかったです」と素直な感情を言葉にした。
チームとしても5点ビハインドの一方的な展開から一矢報いた。最後はクローザーの平野を引っ張り出した。同じ黒星でも、粘ったことに価値があり「あしたも試合があるので、気持ち良く終わらせるわけにはいかなかった。最後はあがけたかな」と静かにうなずいた。
加藤貴はもっと良い投球ができる
今季、先発の加藤貴とバッテリーを組んでいたのは田宮だったが、この日は伏見がマスクをかぶった。過去2戦はやや不安定な内容だったが、ローテーションの核となる左腕の好投を引き出した。本来の姿は取り戻しつつある。それでも「ちょっとナーバスになっているというか。2試合続けて勝てなくて、この試合にかける思いが強かった分、要所でちょっと力みもありましたけど、ゲームはつくれているのでナイスピッチングだと思います。ただ、加藤に求められてるのはもっと長いイニングを投げること。これで最高とか言ったら失礼なので、もっといいピッチングができると思います」と一層の期待を込めた。
味方の失策も絡み、3番手の北浦が七回に4失点。伏見は敗戦の重みをかみしめ「僕が守備で5失点しているので、そこは反省です」と自戒も忘れなかった。首脳陣からの信頼も厚い最年長野手。献身的なリードや勝負強い打撃を含め、経験豊富なベテランは頼もしかった。