《こぼれ球》憧れる人、憧れの人
3月下旬に北海道コンサドーレ札幌へ加入したGK児玉潤が、小学生時代から憧れている選手として名前を挙げるのが、同じく札幌に在籍しているGK菅野孝憲だ。「僕が小学生ぐらいのときには、もうスゲさんは横浜FCで試合に出ていて。自分も小さい頃から身長があまり高い方ではなかったので、スゲさんがJリーグで活躍しているのを見て、『自分にもできるんじゃないか』と思わせてくれました」と、憧れを抱いた理由を語る。
菅野が179センチ、児玉が175センチと、GKとしては小柄な方だが、卓越した足元の技術を武器に、プロの世界を渡り歩いてきた2人。共に高校時代は東京Vユースでプレーしていたというのも共通点のひとつだ。
その憧れの存在である菅野は、児玉の思いに対し「知っているGKが少なかったんじゃないですか(笑)」とジョークを飛ばしつつ、「でも子供の頃って感じなんだな」としみじみ。菅野がプロキャリアをスタートさせた2003年に、児玉が小学校入学という時代背景を考えると、憧れの存在として名前が挙がることは全く不思議なことではないだろう。
憧れる児玉が「自分でもまさか同じチームで一緒にトレーニングできるとは思っていなかった。実際にチームに合流してからは、練習に取り組む姿勢とか、その前の準備の部分、練習後のケアの部分とか、本当に学ぶところはたくさんありますし、そういったところを自分にどんどん取り入れていきたいと思っています」と、菅野との邂逅を今後のキャリアに生かしていこうとすれば、憧れられている菅野もまた「僕もいろんな刺激をもらっている。そういう意味でも本当にいい関係だと思います」と、児玉がチームメートになったことを歓迎する。憧れる人と憧れを抱かれた人が互いに切磋琢磨し、札幌のGK陣をより強いチームへとレベルアップさせていく。