台湾の至宝・孫易磊 同郷・陽岱鋼斬りデビュー 胸に秘める〝大谷マインド〟とは
■イースタン・リーグ4回戦 オイシックス3ー7日本ハム(4月19日、鎌ケ谷スタジアム)
初実戦マウンドで躍動 堂々のノーヒット投球
台湾の至宝がついに、初実戦を迎えた。日本ハムの孫易磊(スン・イーレイ)投手(19)が2軍戦に先発し〝日本デビュー〟。最速152キロを計測した直球を軸に、1回無安打無失点と好投した。
同じ台湾出身の陽岱鋼に対して真っ向勝負
プロ1球目を投じた打者は、2016年まで11年間、日本ハムに所属した陽岱鋼だった。右腕は同じ台湾出身のレジェンドに敬意を込めて、オール直球での真っ向勝負を選択。初球、いきなり152キロでファウルを奪うと、その後も力のこもったボールで押し込み、カウント2―2からの5球目で一ゴロに仕留めた。
「せっかくのチャンスなので、全力で抑えようと思って、全球真っすぐでいきました。打たれてもいいという気持ちで、全力で真っすぐだけ投げました。今、自分が一番、自信があるのがストレートなので、それで勝負しました」
元阪神の高山に四球も後続をきっちり料理
続く篠田からは空振り三振を奪い、2死から高山を四球で歩かせるも、最後は小池に遊ゴロを打たせた。予定通り1回を投げ抜き、ホッとした表情でマウンドを降りた。
試合後に陽から熱きエール
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試合後には陽の元へ、あいさつに向かった。すると、大先輩から「19歳で、これからまだ先が長いから、まずはけがをしないように。たくさん勉強することがあると思うし、ここじゃなくて1軍で投げることが大事。一歩ずつ、しっかりやっていってね」と温かい言葉をかけてもらった。
感無量の右腕 「大事な経験になりました」
金言を胸にしまった孫は「小さい頃から野球をやっていて、(自分が陽と対戦することを)想像できなかった。対戦する機会があると思いませんでした。なので、対戦できたことがうれしかったです。さらに試合後にもアドバイスをいただいて、自分にとっては非常に大事な経験になりました」と感謝した。
大きな一步も通過点を強調
現在は育成契約だが、将来はメジャー挑戦を目標に掲げる。目先の支配下昇格ではなく、数年後を見据え、長期的なプランで大きな成長を遂げようとしている。デビュー戦は、一つの通過点に過ぎない。
「キャンプから、この試合に向けて調整してきたわけではなく、1年間、ローテーションで回っていけるように、体だったり、心構えだったりをしっかり準備をしているところです」と力を込めた。
憧れるのをやめましょう!
大谷の〝あの言葉〟と同じマインドで、野球と向き合っている。二刀流は昨年優勝したWBCで、スーパースターを揃える米国との決勝戦を前にチームメートに向かって「憧れるのをやめましょう」「憧れてしまっては、超えられない」と言い放った。孫も同様に、野球では憧れの選手をつくらないようにしている。
「野球の選手はそんなに見ていないというか、憧れる人はいなかったです。自分が(スター選手たちを)追い越せるようにと思って、頑張ってきました。誰かに憧れるのではなく、自分が強くなることだけに集中していました」
各界を代表するレジェンドたちとの共通点
一方で、野球以外のスポーツ選手には憧れを抱いている。「サッカーのクリスティアーノ・ロナウドだったり、バスケだったら、カール・マローンに憧れます。カール・マローンは、誰かに憧れたりせず、当時1番の選手がマイケル・ジョーダンだったから、それを追い越そうと、自分が強くなることに夢中になっている感じがいいなと思って、憧れました」
〝誰かみたいになりたい〟ではなく、〝自分が1番になりたい〟―。それが、偉大な選手たちと孫の共通点だ。
期するさらなる飛躍 「もっと良くできる」
上々のデビューを果たしたが、全く満足はしていない。「きょうはそれなりに制球できた方だったとは思いますが、もっと良くできたなと思います。真っすぐだけではなくて、他の球種も全て、もっと良くできると思います」と気を引き締めた。
高みを目指す孫の旅は、まだ始まったばかりだ。