M-1ラストイヤーのトム・ブラウン 北海道での冠番組&全国単独ツアーで勢い生み出す
北海道での冠番組がスタートし、5月から全国単独ツアーを行うトム・ブラウン=撮影・十島功
5月17日から全国単独ツアー「たろう7」スタート
大きなうねりを巻き起こす―。札幌出身のお笑いコンビ「トム・ブラウン」が全国5都市を回る単独ツアー「たろう7」が5月17日の名古屋を皮切りにスタートする。4月7日から地元の冠番組であるSTV「道産人間オズブラウン」が始まり、5月25日が「たろう7」の札幌公演(かでるアスビックホール)と、熱は確実に高まっている。単独ツアーに地元の冠番組、そして「M-1」ラストイヤーとなるトム・ブラウンの2024年に注目だ。
昨年のM-1敗者復活戦ネタは290万再生超
多くの人をトム・ブラウンの狂気に引きずり込んだ。昨年の「M-1グランプリ」敗者復活戦「スナックの迷惑な客をどう注意するか?」という設定のネタで会場を大きくうならせた。勝ち上がることはできなかったが、同年6月に完成した新ネタは話題をかっさらった。「M-1グランプリ」の公式YouTubeでは決勝、敗者復活戦のネタを動画で公開しているが、トム・ブラウンの敗者復活戦は290万回再生を超えており、優勝した令和ロマンに次ぐ再生数だ(4月26日時点)。布川「久しぶりに結構反響がありました。ただ、男にしか言われないです」と話し、みちおは「正直、このまま勝ち上がって優勝だと思いました。結果惨敗だったので、すぐ我に返りました」と振り返った。
全国すべて発売当日にチケット完売
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再び火の付いたトム・ブラウンが単独ツアーで東京、名古屋、大阪、福岡、そして地元・札幌の5都市を回る。単独ツアーで地方を回り始めた当初、お客さんが6人だったこともあったが、今回は全て完売。布川も「うれしいですね。地方とかも全部発売日に完売して、追加公演の完売も初めてでした」と喜んだ。みちおは「お客さんが面白いと思って、家に帰った時に何も覚えてない。腹抱えて笑っていたはずなのに、何やってたんだっけ?みたいな、思い出した時に面白さよりも怖さが勝つ。面白いけどトラウマになって頭の中に残るような感じにできればうれしい」とニンマリ。布川は今月上旬のテレビ収録の際に左足人差し指を骨折したが、臆することはない。「また折れるところを見てほしいですね。その場で折れるところを」と鼻息は荒い。当然、単独ツアーの中でも札幌への思いは強い。
ライブ見てお笑い志す子どもたちが出てきてほしい
布 川 「札幌が一番反応悪いので、ちょっとでも面白いと思ったら、その3倍ぐらい笑うようにしてほしい。かでるアスビックホールには、イッセー尾形さんのライブを一回見に行ったことがある。同じ舞台に立てるのはうれしいです」
みちお 「北海道の人に北海道出身の人が面白いと思ってもらえれば。同じ土地で同じものを食べて育った。自分たちにも実は面白いのが隠されているってのを認識して、自信にしてもらいたい。この単独ライブを見てお笑いを志す子どもたちが出てきてほしい」
布 川 「いるわけねえだろ! そんなやつ1人もいねえ」
オードリーの東京ドームイベントから刺激
また、今年は事務所の先輩・オードリーから大きな刺激を受けた。2月18日に行われた「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」に足を運んだ。東京ドームを満員にするだけではなく、パブリックビューイングとオンライン視聴含め、同時視聴者16万人のスケールの大きさ。布川は「ちょっとすごすぎましたね。世界の誰もできない気がします。ここを目指したらフォームを崩しちゃう。違うところを目指していかないと」と驚き、みちおは「勝手にバトンを受け取ったような感覚になった。自分たちなりのルートで高みを目指していくべきなんだと。すごい感動させていただきました」と東京ドームの光景を目に焼き付けた。
北海道でオズワルドと冠番組スタート
夢の一つだった北海道での冠番組も決まった。オズワルドと組んで始まった「道産人間オズブラウン」について「めちゃくちゃうれしいです。気持ち悪い番組を北海道でやってやるぞ、と。全国の人が知っているような番組になっていけば一番いい」とみちお。オズワルドとも付き合いは長く、布川は「吉本では数少ない地下芸人で泥をすすってきたタイプ。めちゃくちゃやりやすいです。伊藤くんはMCとか上手ですし、畠中くんはボケる時のテンションはきもいです」。
第1回の放送では母校・札幌東陵高校を訪れ、2人で柔道対決をする場面もあった。布川が「やばいですよ、この人(みちお)。三角締めをできないくせにやってきて、単純に喉が痛くなって、それで声枯れました」と話すと、みちおも「布川の方が最初に足払いじゃなくて、ローキックをしてきた」と応戦した。「薬膳風呂みたいなところで伊藤くんの股間の辺りをまさぐった時に誰も注意に入らない。楽しくて愉快で気持ち悪い感じでいい」と、みちおが話す自由度の高い番組を通して、やりたいことは山ほどある。
ティモンディを呼んでボコりたい
布 川 「(同じ枠の番組をやっていた)ティモンディを呼んでボコりたい。半年に一回ぐらい可愛がりをしたい。福永俊介アナとも一緒にやりたいです」
みちお 「電動キックボードで北海道縦断とかやってみたいです。ベタにウニとか食べてビールを飲んでジンギスカン食って、みたいなことをしていきたいですね」
地元からの反響も大きく、布川は「母さんも見てくれて『面白かった』と言っていて、電話を切る時に『じゃあ、そろそろもう一回見るから切るわ』って言ってました」と喜んだ。
Mー1に変なモノを残したい
そして今年は「M-1グランプリ」ラストイヤーとなる。合体ネタで決勝に進出した18年に大きな爪痕を残し、一役有名となった。そして昨年も新ネタで世間をざわつかせた。酸いも甘いもを経験した舞台も今年が最後となる。
布 川 「あんまり気負わないようにしたい。他の人からしたら知らねえよって話ですからね。毎年ラストイヤーの人が出てくるわけですから。でも、やっぱり最後にちゃんといい結果を残したいです」
みちお 「ラストイヤーは一回しかないので初めての経験。いつも以上にお祭り気分。変なモノを残して立つ鳥、跡を濁しまくりたい。絶対変な顔をさせたいのと、絶対勝ちたいのが入り交じっている感じですね」
■プロフィール トム・ブラウン ツッコミの布川ひろき(1984年1月28日生まれ)と、ボケのみちお(84年12月29日生まれ)が組む漫才コンビ。ともに札幌市出身。09年にコンビを結成し、芸能人やアニメのキャラクターを合体させる「合体漫才」を特異なネタで脚光を浴びた。「M-1グランプリ」の最高成績は18年の決勝6位。ケイダッシュステージ所属。