上沢直之の連載インタビュー『うわっちのUSAレポート』vol.02 開幕直前にレッドソックス移籍 3Aで過ごす今のリアルな現状は?
新天地での「今」をリアル報告 北山からのメッセージも
昨季まで日本ハムでプレーした上沢直之投手(30)の連載『北海道から世界へ うわっちのUSAレポート』は第2回です。3月末に米大リーグ・レイズを退団。レッドソックスとメジャー契約を結び、現在は傘下の3Aウースターに所属しています。めまぐるしく環境が変化する中、新天地でどのような生活を送っているのか。異国の地で奮闘するリアルな現況を語ってくれた。そんな右腕が終身名誉会長を務める「ファイターズ二郎会」のメンバー・北山亘基投手(25)からの伝言メッセージもあります。
米国人投手との共同生活 英会話を心がけるも…
―ご無沙汰しています。お元気ですか
「元気は…元気ですね(笑)」
ー今月4日にキャンプ地のフロリダから、ウースターに移動した
「めっちゃ寒いです。来てすぐとかマジで寒かったですね。でも、だんだん慣れてきました」
―住まいは
「球団が借りているアパートに住んでいます。ルームメートと一緒に、1つの部屋に2人で住んでいます。2ベッドルームで1つリビングあるみたいな。寝る場所は別です」
―ルームメートは
「アメリカ人です。アンドリュー・ポリッチ。年下のピッチャーです」
ー英語で会話をしている
「そんなに部屋でしゃべることないですけどね。会ったら、なるべく話しかけるようにしています。話しかけても、話していること全然、分からないですけど(笑)」
大英断でア・リーグ東地区の伝統球団へ
―開幕直前にレイズからレッドソックスに移籍。大きな決断だった
「そうっすね。結構、大きな決断といえば決断だった。こっちは日本と違ってビジネスなところがあるので代理人と話をして、持っている権利を行使しないメリットがあまりないよね、他の球団からオファーがなかったらそのままレイズでプレーできるしみたいな。行使したらしたで、現時点でレイズより他のチームの方が僕のことを必要としているということになるしみたいな。確かにそうですね、という話はしました」
―権利とは、メジャー契約のオファーがあれば移籍可能な条項
「そうです。そうです」
―悩んだ
「そうですね。レイズに行きたかった理由も明確にあったし、アメリカに行く時にレイズを選んだ理由もしっかりしていた。そういう意味では結構、悩んだのは悩みましたね」
―最終的な決め手は
「最後は自分ですよ。誰かにどうこうとかはなくて、やっぱり最終的な目標がアメリカでメジャーで投げることが目標だし、そこがすごく大事だと思いました」
日本とは異質の環境 心がける早期順応
―現在の状態はどうか
「めちゃめちゃいいわけではないです。正直。日本で投げていた球種の割合とは全く違うので、それは難しいですけど、早くこっちで抑えるために環境とかバッターの傾向をチームの中で感じながらやっていかないといけないと思います。投球割合がかなり変わってきますね。真っすぐ系はかなり減りました」
―3Aでの移籍初登板は敵地・シラキュース戦だった。移動は大変だったか
「バスで4時間とか4時間半。でも、僕の地区は楽な方みたいです」
―先発投手はバスの床に寝るという話を聞いたことがある
「今のところないですね。座席に座れました(笑) 昔と今じゃ結構、環境が違うみたいです。昔ほど、ひどくはないみたいです」
日本ハム戦はしっかりチェック 北山から伝言も
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―日本ハムの試合は見ていますか
「時間がある時は見るようにしていますね」
―今回は北山投手からの伝言を預かってきました。『またオフシーズン、一緒に二郎系でも食べに行きましょう』とのことです
「ハハハ。ぜひ、お願いしますと言っておいてください」
―ネットニュースなどで上沢投手の動向はチェックしているそうで『僕が活躍する姿を見てもらいたいです』と意気込んでいました
「十分、見ていますと。もともとすごかったですからね。別に今、成績が出ても驚きはしないですよ」
先輩右腕の立ち振る舞いに感銘 しっかりと伝わっていた思い
―1年目にリリーフで上沢投手の勝ちを消したたことがあり、その時の立ち振る舞いを見て、こういう人が周りから応援されると思ったと。中継ぎ投手の気持ちも分かる先発ピッチャーになれたらと話していました
「今後ファイターズを背負っていくような選手になっていくと思うし、野球界を代表する選手になっていくと思う。すごく才能にあふれているので、余計なところでストレスがかかってほしくないなと思って話をするようにしていました」
―思いは伝わっている
「僕はそういうことしか出来ないので、という感じです」
伊藤と北山の〝勝負〟に驚き 加藤貴は心配無用!?
―開幕投手を務めた伊藤投手も調子が良さそうです
「大海は、けがさえしなければ大丈夫だと思っていました」
―北山投手と伊藤投手で奪三振数を争っていると聞いた
「すごいっすね。僕と加藤(貴之)さんだったら、絶対その話にならないですから。奪三振数で勝負し合ったことは一回もないですね(笑)」
―加藤貴投手は上沢投手がいないので寂しそうに見える
「ハハハ。(1軍に)玉井さんも宮(西)さんもいないしね。時間ある時、連絡してみます。でも、大丈夫っすよ。まだ4月。終わってみたらという話ですよ」
苦手な春先 米国でも変わらず
―上沢投手も毎年、春先は苦労している
「嫌っすね。この時期、春…」
―アメリカに行っても
「変わらないですわ。本当に変わらない。意味分からない。毎年(笑)」
これまでとはまったく異なるブルペン投球
―しっくりこない
「そうっすね。しっくりこないのもあるし、こっちに来て自分の調整法がなかなかうまくできないというか、日本でやっていたようには全部うまくできない。ブルペンで好きな球種を思うように投げるとかもできないので。決められた球種、決められた球数で終わる。でも、それがこっちでやっていくための大事な作業だと思うし、そういった環境に慣れて、僕が早くこの環境を味方に付けることが大事かなと思います」
―投げる球種まで決められている
「それは結構びっくりしました。ダメというか、もうピッチングで投げる球数がある程度、決まっている。だいたい30球くらいですね。球種は3通りくらいから選ぶみたいな。真っすぐばかり投げるとか、まずないです」
―100球以上投げることは
「ないっすね。100%ないっす。その中でうまく状態を上げていくような努力は続けていきたいですね」
―練習の流れはつかめてきた
「結構、練習時間がきゅっとしているので、その中でウエートしたりとか、試合中は基本的にベンチで見ていることが多いです」
身の危険を感じたことも 勉強にも苦戦
―リフレッシュはできているか
「いや~なかなか難しいですね。正直。あんまりしたいなと思うこともない。今こっちで休日にすることないんですよね。マジで」
―ウースターはあまり治安が良くないそう
「結構、危ないところです。確かに、ちょっとやばいヤツいます。この前、ナイターの日に朝ご飯を買いに行った時、そこの駐車場におかしいヤツいましたね。金くれよみたいな(笑)」
―それは怖い
「時間ある時に英語の勉強もしていますけど、そしたらそれでストレスたまるっていう。今はまず文法と単語を勉強しようと、空いている時間にやっています。夜とかワーキングスペースみたいな場所で。だいたい誰も使っていないんですよ。無駄な時間にしたくないなというのはあるので。しんどいっちゃしんどいですけど、勉強するの。腹立つので、マジ話せないのが(笑)」
―ご家族とは連絡を取っているか
「夜とかですね。家族がいたら、少しは気持ちが晴れたり、リフレッシュできる時間もあるのかな~と思いますけど」
球場メシが頼りも野菜不足を危惧
―食事面はどうしている
「大丈夫じゃないですけど、大丈夫ということにしています(笑)」
―料理はしている
「今はしていないですね。球場で出るので」
―朝昼晩と出る
「ナイターの日の朝は出ないですね。夜、シリアルとか自分で持って帰って。ジャンクフード割合は高いです。ハンバーガーとか…」
―野菜はしっかり取れているか
「野菜がなかなか取れないです。野菜が取りづらい」
―肌荒れしていない
「全然、肌荒れしない。日本にいる時より肌荒れしないです。逆に。日本ではおいしいものを食べる、うまくて体にいいものを食べていましたけど、もうそういうのはなくなりました。とにかく腹を満たす」
日本球界の恵まれた環境を再認識
―日本のプロ野球選手は恵まれていますね
「めっちゃ思います。こっち来て、めっちゃ思います。日本のプロ野球、恵まれているなって。だからこそ、こっちでプレーしている選手をリスペクトできるし、すごいなと思います。ベースがそれから始まったら気付かないかもしれないですけど、すごいなと思います」
―上沢投手も大けがなどを乗り越え、はい上がってきた
「今までの野球人生いろいろあったし、もともと期待されてやったことなんて一回もないので(笑)」
メジャー昇格へ気合十分 「最初うまくいかないことには慣れている」
―そんなことない
「いやいや、期待されていないっすよ。当たったらいいなという感じでしょ。だから、最初うまくいかないことには慣れているので、その中で見つけていくのがすごく大事と思いますね」
―メジャー昇格のチャンスはありそう
「そうですね。僕がしっかり3Aで抑えたら、チャンスはあると思います。早く自分の状態を上げられるようにしたいです」