【’24ドラフト道産子有望株】⑤目指すは〝北の朗希〟 北星大付191センチ右腕・石田充冴投手
セ・パ10球団が注目
今秋のプロ野球ドラフト会議で指名が期待される選手を先取りする「’24ドラフト道産子有望株」。第5回は、北星大付の191センチ右腕・石田充冴投手(じゅうざ、3年)。昨秋は長身から振り下ろす直球を武器に、同校の14年ぶり全道大会進出をけん引した。その将来性にセ・パ10球団から注目が集まっている。目標は〝令和の怪物〟ロッテ・佐々木朗希投手(22)だ。
3月の関東遠征で土浦日大に勝利
3月の関東遠征で5試合中3試合に登板し1勝2敗。昨夏の甲子園で4強入りした土浦日大との練習試合に先発し5回2失点で勝利に貢献。「遠征で実戦を積んでる中で、冬にやってきたことが少しずつ出てきてる」。冬の筋トレの成果で体重は昨秋から5キロ増の86キロ。それに伴い球威が増した。投手陣のリーダーを務め「バットが新基準に変わることで、強いストレートをベース板の上に投げ込むことを投手陣で行ってきた。遠征では自分の真っすぐで空振りが取れたりファウルを打たせたりできた。痛打されることもあったが、ストレートは少し自信になりました」と手応えを得ている。一方、「変化球で腕を振り切れていない。カウントを取りに行った変化球で打たれる。スライダーとカーブの精度とキレが課題」と、修正点を見極めている。
目標は『3年夏に155キロ』(動画あり)
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昨秋の全道大会出場時に『3年夏に155キロ』と大きな目標を掲げた。投手を始めた理由を「やっぱり一番目立つ。野球はピッチャーが投げないと始まらないし、抑えたらピッチャーが評価される。自分の目標とする佐々木朗希投手のように、三振を取ることに魅力を感じている。自分が抑えて勝てた時はなおさら嬉しい」。ところが高校ラストイヤーを前に球速を求める理由に変化が生まれた。「自分のためになんでもやっていたら、結果として自分のためにならない。チームのために尽くしていたら、それが自分に還ってくる。155キロは自分たちが甲子園で勝つという目標を本気で目指す中で、成長して出る結果」。エースとしてチームが勝つことを最優先に考えている。
球速アップのため投球フォームにこだわる
現代の高校野球では〝絶滅危惧種〟となったワインドアップも、左膝を高く上げるフォームも全ては球速のため。中学2年春にすでに身長は190センチ。「その時は何も考えずに真似していました」と、192センチの佐々木投手を模倣するのは自然な流れだった。それからは球速を出すために研究を重ねた。「なんでこのフォームになったかを考えてやらないと真似するだけになってしまう。足を高く上げることによって位置エネルギーが生まれて球速に繋がるから。ワインドアップにしたのも、エロンゲーション(体全体を伸ばす動作)と言って腹筋と肺が広がって腹筋に力が入る。これで大体(球速が)平均2、3キロ上がる」。昨秋の全道大会で140キロをクリア。さらに4月に3キロアップ。身長同様、まだまだ発展途上だ。
〈動画:石田投手の投球フォーム〉
相次ぐ故障で中学まで目立った活躍なし
小学6年時に右肘外側にいわゆる「ねずみ」(関節遊離体)を発症して手術。その後も右肩を痛めるなど、中学まで思うような活躍はできなかったが、同校の沼山健吾監督(41)に将来性を見いだされた。「中学2年の冬に『一緒にプロを目指そう』と声をかけてもらった」と石田。感謝の思いは結果で返す。「春はチームの目標は最低、全道ベスト4。負けていい試合はない。夏の目標は甲子園で勝つこと。それに向けて課題をしっかり見つけていきたい」。絶対エースとして同校を初の甲子園へ導き、プロの夢もたぐり寄せる。