《鶴岡慎也のツルのひと声》田宮よ、捕手はユニホームを脱ぐ日まで隙をつくってはいけない
■パ・リーグ6回戦 ロッテ0ー5日本ハム(4月21日、エスコンフィールド北海道)
巧みだった加藤貴の「一塁側の出し入れ」
加藤貴が見事な完封勝利。今季ここまで3試合に登板し、勝てていなかったが、らしさ発揮で力強くシーズン初勝利を手にした。テンポのいい、いつも通りの加藤貴に加え、今回は「一塁側の出し入れ」が実に巧みだった。
前回までの反省を生かした見事な投球
一塁側の出し入れ。つまり、右バッターのアウトコースと左バッターのインコースだ。右打者へは直球、スライダー、チェンジアップ、フォーク、左へはツーシームを有効に使った。前回までの3試合、三塁側のボールでミスをすることが多かった。その反省も踏まえた見事なピッチングだった。テンポの良さはさすが。それが守備にも好影響を与えた。
データ重視の時代だからこそ捕手に必要な感性
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
快投を引き出した田宮もたたえたい。現在のプロ野球。データを重視する傾向が強く、それらを頭に入れながらリードしていかなければならない。ただ、実際に投手のボールを受け、状態を見極め、打者の反応にも目を光らせる。この感性こそが捕手の優劣を左右する。この日、加藤貴の状態をしっかりと見定め、一塁側を生かせていた。
学ぶべき部分が多い伏見のインサイドワーク
加藤貴は田宮とバッテリーを組んだ今季1戦目は3失点。同じく2戦目は4失点していた。一方、前回の3戦目はベテランの伏見と組んで1失点だった。伏見はどういう球を使い、どう組み立てたのか。田宮はきっちりと勉強したはずだ。私も現役時代、自分が出ていない試合ほど、分析に時間を割いたものだ。
バッティング&肩でも勝利に貢献
2試合連続の完封勝利。田宮の感性は大いに磨かれただろう。加えてバッティングでもタイムリーを放った。そして自慢の肩。三回無死一塁で茶谷のバントをすかさず捕球し、二塁フォースアウトを取った。右バッターが正面に転がした場合、捕手はなかなか前に出づらい。しっかりと次のプレーに向けて準備ができていたからこそ、ファインプレーが生まれた。
少しの隙が命取り 田宮は肝に銘じて
今や、なかなか外せない捕手に成長を遂げたのは事実だ。ただ、少しでも隙を見せたら、その座を追われる。安定感があり、投手陣からの信頼も厚い伏見が控えている。捕手はユニホームを脱ぐ日まで、隙をつくってはいけない。肝に銘じてもらいたい。
スコアラーもファインプレー 勢いは今、ファイターズにあり
打線は四回、一気に5点を奪って種市を攻略した。フォークを見極められたことが大きかった。研究を重ねた成果が見て取れる。スコアラーさんのファインプレーも光った。22日は移動日。結果、リリーフ陣を3連休にすることができた。次の楽天との3連戦。中継ぎ陣をどんどんつぎ込める。今、ファイターズは勢いに乗っている。