GW逆襲へ欠かせない札幌の万能MF駒井善成 ポリバレント性が培われた背景と思考
■4月24日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場
頼れるリンクマンが、降格圏脱出へ導く―。北海道コンサドーレ札幌は27日湘南戦(札幌ドーム)に向けて、全体練習を行った。MF駒井善成(31)はこの日行ったミニゲームでトップやボランチなどをそつなくプレーし、持ち前のポリバレント性を示した。複数のポジションをハイレベルでこなす駒井は、選手起用に幅を持たせてくれる貴重な存在だ。ゴールデン・ウィーク(GW)3連戦でも、その器用さは勝ち点獲得への大きな武器となる。
ここ3試合で勝ち点5を前向きに
リーグ戦3試合負けなしで迎える黄金週間を、浮上へのターニングポイントとする。ここ2試合は先制しながら追いつかれてのドローとなったが、最下位に沈む現在は勝ち点を積み上げることが最優先事項。駒井も「先制できているので勝っていかないとってところもあるんですけど」と前置きした上で、「退場者が出たりとか、この前の広島戦は内容的にも押されての勝ち点1だったので、そういう面ではポジティブなところもある。負けていないところはいいところ」と、3試合で勝ち点5を前向きに捉えた。
湘南戦の起用ポジションは
湘南戦に向けて行われた11対11のミニゲームの1本目、駒井は20日の広島戦(札幌ドーム)同様に主力組のトップに入った。そして2本目は、この日から全体練習に完全合流したFW鈴木武蔵(30)が主力組のワントップに入ったため、ボランチへとポジションを移した。DF岡村大八(27)の負傷の影響で湘南戦はどのポジションで起用されるか、不透明な部分はあるが「そのポジションによって求められていることも違う。しっかり頭で切り換えながらやっていければ」と想定は怠らない。前線ならば「体張ってうまくワンタッチではたいて、攻撃をテンポアップさせていくところは求められる」、中盤ならば「ボランチや1.5列目の方が生きるかもしれないので、自分の良さを出していけたらいい」と思考を整理しながら試合へ向かう。
育成時代の経験が万能性を生み出す
駒井の万能性は「いろんなポジションを経験させてもらっていた」育成年代からの賜物だ。元々の主戦場はサイドハーフだったが、京都U-18時代にボランチやワントップを経験していたことが今につながっているという。プロ入り後はウイングやサイドハーフ、ウイングバックなどを務めドリブラーとして名を馳せたが、育成年代の経験と高い戦術理解力が相まって、キャリアを重ねると中央のポジションを任されるようになった。
「監督が何を求めているのかを実行」
3月2日の鳥栖戦(駅スタ)では退場者が出たこともあり、途中から右センターバックにも入った。「プロのピッチでいろんなところをやるとは思っていなかった」と苦笑いしながらも、「一番は監督が何を求めているのかを実行しながら、自分の判断で変えられることが大事になる。監督の言っていることだけじゃなくて、プラスアルファの部分を持てると自分の引き出しにもなる」と、与えられたことを遂行するだけでなく、あらゆる状況に対応できる〝柔らかさ〟がプレーの幅を生み出している。
「勝ち点3を取って勢いに乗りたい」
逆襲のGWとするために、まずは湘南戦で追い風を生み出す。ここまでリーグ戦全9試合に先発し、うち7試合にフル出場しているように「僕自身は体力的にも連戦は苦じゃないタイプ」と過密日程に不安はない。「いい形で(連戦に)入れるようにするためには、勝ち点3を取っていかないと。しっかり勝ち点3を取って勢いに乗りたい」。連戦でこそ、駒井のポリバレント性が生きる。