【’24ドラフト道産子有望株】③兄・秀俊(阪神)に続け!新潟の地で奮闘する帝京長岡の大型右腕・茨木佑太
甲子園出場とプロ入り目指す
今秋のプロ野球ドラフト会議で指名が期待される選手を先取りする「’24ドラフト道産子有望株」。第3回は故郷の札幌を離れ、新潟・帝京長岡高で奮闘する茨木佑太投手(3年)を紹介する。187センチ、92キロの大型右腕が目指すのは、帝京長岡がまだ果たしていない甲子園出場、そして2歳上の兄である阪神・茨木秀俊投手(19)が戦うプロの世界へ飛び込むことだ。
長い手足を生かしたダイナミックなフォームから投じられるストレートは最速143キロ。持ち球であるスライダー、カーブ、チェンジアップを駆使し、今春の練習試合ではスコアボードに〝0〟を刻み続けてきた。
元日本ハム戦士の指揮官が太鼓判
4月上旬には春のセンバツ8強の山梨学院との練習試合で、茨木は強豪相手に完封した。帝京長岡を指揮する元日本ハムの芝草宇宙監督(54)は「茨木がほぼ完璧に抑えてくれた。ストレートもコースに決まって、スライダーのキレも去年の秋と比べると一段と良くなった。ボール1つ1つの(速度の)アベレージも10キロぐらい変わってきている」とベタ褒め。NPBで通算430試合に登板した経験を持つ指揮官も、その能力に太鼓判を押す。
投球フォームを試行錯誤
入学時はオーバースローだったが、昨秋に一時、投球フォームをスリークオーターに変更した。「元々オーバースローの中でも(腕の位置が)低い方だと思うんですけど、去年の夏の暑さで体重が落ちてしまって。全然(ボールに)力が伝わらないというときに、(スリークオーターに)切り替えてやっていました」とフォーム変更の理由を語る。その後冬場に上半身を徹底的に鍛え直し、春からは再びオーバースローに戻した。自身でも手応えを感じているようで「上から投げた方が爆発的な力というのを出せる。上半身を鍛えた分、力をとても伝えられていると思う。そこは良いかなと思っています」。今春から高校野球でも解禁となった2段モーションにチャレンジし「その方が腕がすんなりと上がって、しっかり足に(力が)働きやすい」と手応えを感じ、取り入れることにした。
14日の練習試合で今季対外初の失点も(投球フォームの動画あり)
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今月14日に行われた樹徳(群馬)との練習試合では6回94球を投げて7安打を浴び4失点と、今季の対外試合で初めて失点した。芝草監督は「夏に向けて、この冬と違うトレーニングに切り替えたところなので、体に負担もかかっていて、それなりの投球になってしまったのかな」と疲労を原因に挙げた。しかし茨木自身は「そういった面もあるとは思いますが、それは言い訳なので。今やるべきことというのが自分の中でありますが、今日はそれができなかった」と、来たるべき夏の戦いに向けて気を引き締める。
〈動画:茨木投手の投球フォーム〉
兄の背を追い新潟へ進学
札幌市手稲区出身。小学1年時に手稲ヤングスターズへ入団し、野球を始めた。札幌東シニアを経て、2022年に兄が3年生として在籍していた帝京長岡高に入学した。「監督が元プロということもあって、その経験を聞いたり、その指導を受けるというのが、環境的にも自分に合っていると思った。プロ野球選手になるために、ここに来ました」。1年夏には背番号11を背負い兄と共に戦ったが、決勝戦で日本文理に1-2の惜敗。甲子園まであと一歩のところで涙をのんだ。
それから2年。高校生活最後の夏をまもなく迎える。目標は当然初の甲子園出場だ。「今まであと一歩というところで出場できていないですけど、今年は絶対に決めないといけない。甲子園に向けてやってきたので、初出場して帝京長岡の歴史に名を刻めるようにやっていきたい」。
プロ3球団のスカウトが熱視線
「プロ野球選手になるのが小さい頃からの夢だった」と語るように、その目はプロ入りも見据えている。14日の練習試合にはプロ3球団のスカウトが視察に訪れた。現役時代に新人王に輝くなど日本ハムで活躍し、現在は中日のスカウトを務めている八木智哉氏(40)は、初めて直接本人の投球を見た茨木について「サイズも良いですし、出力の出し方というのも、まだ春先なので、これから試合で投げていってどんどん上がってくると思う。技術的なところは、直すところは今は無いと思います。体はでかいですけど、(体の)軸とか筋量は、まだまだこれからだと思うし、投球内容とか駆け引き、自分の良さを分かってくると、自己評価も高くなってパフォーマンスにもつながってくると思う」と伸びしろの大きさに期待する。
尊敬する兄 いつか超えたい存在
ひと足先にプロの舞台へと足を踏み入れた阪神の兄・秀俊は目標とする存在だ。「2年目のキャンプで1軍入りして、紅白戦で先発したりしてすごいなって。尊敬の気持ちというか、すごいなという気持ちが一番。自分もそこを目指していけたら、という気持ちがあります。ずっと兄を見て野球をやってきたので、目標でもありますけど、兄を超えられるように」。プロとして活躍する兄に匹敵する素質を秘めた道産子右腕が、越後の地で夢を叶えるべく努力を積み重ねる。