元ソフトバンク古谷優人投手 帯広俱楽部でオープン戦出場(動画あり)
「3番・中堅」で先発出場 3安打1打点1盗塁
社会人野球の帯広俱楽部VICROSSに今春、幕別町出身で元ソフトバンクの古谷優人投手(25)が加入した。4月28日に苫小牧で行われたオール苫小牧とのオープン戦に「3番・中堅」で先発すると、3安打1打点1盗塁。さらに投手としては八回から打者6人に投げ被安打0、奪三振4と、ブランクを感じさせない投球を披露した。最速160キロを誇り、大きな期待を寄せられた左腕。21年オフに窃盗を理由に自由契約になり、帯広倶楽部に加わることになった経緯を、今季から指揮を執る因幡祐樹新監督(35)とチームメートが明かしてくれた。
投げては2回無安打無失点の4K
野球小僧のようにチームメートと一緒に笑顔で全力プレーする古谷を、三塁コーチャーズボックスから見つめた指揮官。「若い選手が多く入ったので、これから学んでもらうことは多い。古谷は野球に対してとんでもなく真面目。妥協しない。チームとして良い影響が出ていて、平日練習の人数も量も時間も、段違いに増えている」。積極的に若手を指導しているといい、活気にあふれている。
球友のもとへ連絡「硬式がやりたい」
かつての球友が橋渡し役になった。主将の武藤慶吾捕手(25)と古谷は中3から顔見知り。武藤主将が帯広農業3年夏には十勝支部代表決定戦で古谷がエースを務めた江陵と対決した間柄。昨夏、地元に戻って新しい仕事が一段落した古谷から「帯広に戻って野球をやるなら硬式をやりたい」と連絡が入ったという。
因幡監督とじっくり話し合った「覚悟」
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古谷のソフトバンク退団経緯はスタッフ、選手一同が把握。古谷の実力は折り紙付きだが、因幡監督が直接本人と話し合い、人間性や覚悟について、じっくり話し合った。同俱楽部は地域への社会貢献活動として、中学3年生の夏が終わった選手を対象に毎年8月から翌年3月まで「硬式野球教室Guts(ガッツ)」を主催。高校野球へ橋渡しと、高校野球の楽しさを知ってもらうことが目的。話し合いの中で、Gutsのことを説明すると「むしろ、そういうのがやりたいです」と野球界への恩返しに意欲を見せたという。その後、指揮官を含むスタッフ4人で最終的に協議した上で入団にゴーサインが出た。武藤主将も「プロの目線でのリードとか、そういう話も色々聞ける。入ってくれるとチームの士気も上がるのでは、と。僕自身も受けるのが楽しみです。全く問題なかったですね」。すんなりと地元ので再出発が決まった。
〈動画:古谷投手の投球〉
チームのSNS発信に大きな反響
4月13日、チームの公式X(エックス)で加入を発信したところ、瞬く間に拡散。予想を遥かに上回る反応があった。中には心ない書き込みもあったが、因幡監督は「僕らが信じてどうにかなるか分からないですけど、僕らはそうじゃないよ、というのは、もちろん伝えたい。若い子たちにとって、いい背中になれば」と全力でサポートする。
試合後「楽しいです」と充実した表情を浮かべた古谷。退団から1年半が過ぎた昨夏、153キロをマークしたという左腕の再デビューは5月19日の都市対抗1次予選1回戦の札幌俱楽部戦だ。