【’24ドラフト道産子有望株】⑥〝北の剛腕ブラザーズ〟最速147キロ右腕の旭川実業・田中稜真投手が求めるのは「球速」より「球質」
今秋のドラフト会議で指名が期待される選手を先取りする「’24ドラフト道産子有望株」。第6回は旭川実業の147キロ右腕・田中稜真投手(3年)。この冬は球速より質にこだわり、食トレで秋から8キロ増の体重79キロ。3つ上の兄でロッテ・楓基投手(20)が果たせなかった甲子園出場に導く。
練習試合で浮いた直球狙われ課題残す
一冬越えて明らかに体つきが一回り大きくなった。4月27日の北星大付との練習試合では今季最長の九回完投。最速145キロをマークしたが、浮いた直球を狙われ5本の本塁打を浴びた。「ホームランを5本も打たれたのは野球人生で初めて」と3-8で敗れたが、この試合では配球やバッターの出方をうかがいながら投球することをテーマに掲げていた。捕手とサインが合わない場面があるなど、まだまだ試運転段階だが「ホームランを打たれた後も、最後まで動揺するこなく比較的冷静に投げられた。大会だったら、もう次はない。学べるところは練習試合でしっかり学べた」と、高校ラストイヤー開幕を見据える。
ロッテスカウトら6球団が視察
この日はNPB6球団が視察。春先にもかかわらず2人体制で訪れた球団もあった。ロッテの柳沼剛スカウト(49)は「去年の秋より全然いい。真っすぐが強いし右のインコースにもしっかり放れる。スライダーの曲がりもいいし、これから夏に向けてパワーアップしてくるでしょう」と、引き続き注視していく。
筋トレよりつらかった食トレ 決意した理由は
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昨秋は171センチ、71キロ。元々食が細かった田中が食トレを決意したのは、昨秋の全道大会で南北海道勢と対戦したから。「東海(大札幌)も北照の選手もデカくて、ここで本気にならなきゃいけない。いくら変化球を投げても直球が良くないと限界が来るのを、南北海道のチームと戦ってみて痛感した」。オフは3食に加え補食を3度。多いときは1日7食。「常に何か口に入れている、という状態」。筋トレよりもつらかったという食トレに耐え、大排気量の〝エンジン〟を手に入れた。
増したパワーをボールにロスなく伝えるため、新たな取り組みも始めた。キャッチボールでは受け手の位置と左右1足分離れた位置にマーカーを置き、内角、外角に投げ分ける。さらに投球時、左足を踏み出した時に体の正面が三塁方向を向く時間を長くすることによって、捻転のパワーを一気に解放することで力強いボールを可能にした。
〈動画:田中投手の投球フォーム〉
平均球速が大幅に向上
最速は147キロで変わらないが、平均球速が大幅に向上した。チェンジアップやスライダーに自信あるが「変化球はかわす道具でしかない。直球で行けるなら直球にこだわるべき。150キロで当てられるストレートじゃ意味ない」と、最後は直球一本の投球スタイルを追い求める。
スタミナもついた。今季は早い段階から長いイニングを投げることが可能になった。昨季はオフに鍛えた筋肉がシーズン中で落ちていき、体重が70キロを切ることもあった。その反省から今季は「継続して週1回でも2回でも」と、努力の末に手に入れた筋肉を落とさないよう筋トレを続ける。
日本ハム・玉井大翔3年時以来の甲子園へ
日本ハム・玉井大翔投手(31)が3年生だった2010年以来の甲子園出場を目指す。「春も夏も自分の結果が出ればチームは勝手に勝てる。自分が『0』に抑えれば負けることない。春は夏への課題がたくさん出てくる。それを自分の成長のためだと思ってやっていく」。強豪を次々撃破し、〝ミラクル旭実〟と呼ばれる快進撃を果たした1995年から30年目の夏。エースが聖地のマウンドで全国デビューを目指す。